あらすじ 私――井上瑠奈は限界オタク女子高生。 ある日目が覚めたら、見知らぬ部屋にいた。そこはなんと、ゲームの中で見た魔王城。 私は家族に売られ、魔王の娘ルナマリアとして生まれ変わったのであった! とぼけたクソ親父、魔王サダキヨにスカル宰相。 私に妙に懐いてくる囚われの聖女、シエミナ。 そしてお顔が良すぎるイケメン勇者様。 さらわれて自由を満喫する聖女に、買ってでも悪名を広げる魔王とスカル宰相。 颯爽と現れるけど出会うとエンカウントしちゃう私と勇者様。 隕
ひどい目にあった魔王軍イケメン集会から三日。私はミナの部屋に呼ばれていた。 なんでも「私の部屋でお茶会しましょ!」とのことで最初は却下したのだが――。 「それなら、私の水晶玉で勇者様を眺めながらお茶会しましょう?」 という言葉にあっさりつられたのである。 「ミナ、入るよー」 ミナの部屋は相変わらずでかい。庭には馬もグリフォンもいる。 庭で動物? 魔物? と遊んでいたミナが笑顔でこちらにやってきた。 「ルナ様! いらっしゃいませ! 今日はふたりっきりでお茶会楽しみまし
「んー、くぅくぅ……むにゃ、勇者様ー、えへへ……むにゃ……」 私は元女子高生、現魔王の娘? ルナマリア。 今は無駄にでかいけど寝心地のよいベッドで勇者様の幸せな夢を見ている。 ああ、勇者様尊い。どうか私を救い出して……あ、そんな、手を――。 「あん、ルナ様ってば大胆……!」 えっ!?!? なんか声が勇者様と違う! なんだこの柔らかい感触は、夢、じゃない!? 私が驚いて目を開くと、私の隣にいつの間にかミナが横になっていた。 「うわぁぁぁぁ、ミナ! なんでここにいるの
身体が軽い、心地良い。まるで海の中を漂っているみたい。 すべてが溶け出して大きな何かとひとつになっていく不思議な感覚。 とっても幸せな時間、ずっと続けばいいのに――。 でも、起きなきゃ、学校、学校が……。 「はっ!? 学校! 遅刻!? って、アレ?」 目覚めた私はまったく知らない空間でベッドから身を起こしていた。 そもそもうちは布団だ、こんな大きなベッドなんてない。 天蓋までついている。ただ――。 「全部真っ黒……。ベッドも部屋も家具もぜんぶ……ここは、どこ?