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美味しい佃煮ができるまでー秋田県潟上市ー

前回の記事では潟上市の羽後飯塚駅周辺について紹介しましたが、皆さんご覧いただけましたか?
今回は、八郎湖周辺で盛んに行われている佃煮づくりを紹介します!
羽後飯塚駅の隣の駅である大久保駅から、徒歩15分程度のところにある「佐藤食品株式会社」さんを訪ねました。

佐藤食品さんは、八郎潟が干拓される以前の昭和7年から創業している老舗で、佃煮や若さぎのからあげ、甘露煮等、こだわり溢れる様々な商品を取り扱っています。
これらがどのように作られているか、佐藤社長さんに案内していただきました!

ーどっぴき漁ー

まずは、佃煮やからあげ等に使う若さぎを獲りに漁へ!

網を張る2艘の船によって漁は行われます。網の両端を2艘の船がそれぞれ持って、網を張った後、2艘の船がお互いに近づき、網で魚を囲い込みます。
網には特徴があり、網の先のほうは目が細かく、それ以外はやや粗めになっています。先の目の細かい方では小さな白魚を、それ以外では若さぎを獲っているそうです。

資源を維持するため、漁が可能な時間は午前6時30分~7時30分の1時間ととても短く決められています。
獲れた魚は、船着き場で待っている漁師の奥さんが数量を確認します。

取材時(10月末頃)の漁獲量は6箱分(約70kg)でした!例年11月になり、寒くなってくると漁獲量が減ってくるそうです。

獲れた若さぎは、鮮度が落ちやすいので、すぐに工場へ運ばれていきます。


佃煮等を作る上で欠かせない新鮮な若さぎ。
そんな若さぎを獲っている漁師のお一人、菅原 洋悦すがわら ようえつさんにお話を伺いました!

漁師 菅原 洋悦さん

ー漁を始めてどのくらいになりますか。
小さい頃から父親を手伝い、漁をしていました。その後は、会社勤めをしていましたが、退職してからは漁を再開しています。
現在、一緒に漁を行っている菅原 喜志雄すがわら きしおさんとペアを組んでからは、7~8年程になります。

ー漁をしていて、一番大変なことは何ですか。
農業も行っているため、どっぴき漁期間は農家と漁師の兼業状態となることです。
特に稲刈りとどっぴき漁が重なる時期は、午前4時に起床し、5時から漁の準備をします。その後、6時半~7時半まで漁を行い、8時半頃に獲った魚を運搬します。
漁が終わったら、今度は午後4時頃まで稲刈りを行います。その後2時間ほど籾すりをし、夕方に翌日の漁の準備をする、といったハードスケジュールです。
特に忙しい期間に兼業を行うことになるので、疲れが出ます。

ー漁をしていて、一番嬉しいことは何ですか。
やはり、大漁の時は嬉しいですね。


ー選別ー

運ばれた若さぎは水洗いの後、海老や白魚を取り除くなど選別されていきます。

そして、魚体が大きいものは佃煮に、小さいものはからあげに、この後加工されていきます。


ーからあげー

まずは、からあげの作り方から紹介します!
からあげにする若さぎに粉をまぶしていきます。

粉をまぶした後は、いよいよ若さぎを揚げていきます!


サクサクとした食感を生み出すために重要な、揚げの作業。
若さぎからあげを担当している、職人の菊地 一彦きくち かずひこさんにお話を伺いました!

からあげを担当する職人 菊地 一彦さん

ー製造に関わってどのくらいになりますか。
24年程です。

ー作業をしていて一番大変なことは何ですか。
この時期は通常の佃煮作りの前に、その日入荷された若さぎや白魚の加工作業があって大変です。忙しい日は、加工作業だけで午後4~5時までかかることもあります。特に大変なのはどっぴき漁が解禁された直後である9月です。気温が高い中での作業は、暑くてとても大変です。

ー作業をしていて、一番嬉しいこと・やりがいを感じることは何ですか。
美味しい物を作ることに参加できることです。

ーどのように出来具合を確認しているのですか。
長年で培った手の感覚です。生の状態の魚は重いですが、揚げることで軽くなります。その重さを手の感覚で確かめています。


そして、揚がった若さぎがこちら!

揚がった若さぎを冷ましてからもう一度揚げた後、タレを絡めたり塩を振ったりして、若さぎのからあげが完成します!


ー佃煮ー

次に、佃煮の作り方を紹介します!
新鮮な若さぎを生のまま煮込む、「生炊き」という製法で作っていきます。
醤油や水飴などと一緒に煮込んでいきます。


佃煮の味を左右する、煮込みの作業。
生炊きを行っている、職人の門間 一男もんま いちおさんにお話を伺いました!

佃煮を担当する職人 門間 一男さん

ー製造に関わってどのくらいになりますか。
15~16年程です。

ー作業をしていて一番大変なことは何ですか。
菊地さん同様、どっぴき漁時期に行う若さぎや白魚の加工作業や、9月の気温が高い中で佃煮を煮ることは、とても大変です。
また、佃煮は水分が大敵で、すぐにカビが生えてしまうため、水分管理に気を遣わないといけないところが大変です。水分が多すぎると後々カビの原因になってしまうし、水分が少ないと硬くなって美味しくなくなってしまいます。冷めるときにも水分が抜けていくことも踏まえて、調整が必要なんです。

ー作業をしていて、一番嬉しいこと・やりがいを感じることは何ですか。
お客様においしいと言ってもらえることです。

ーどのように味や出来具合を確認しているのですか。
長年の感覚によるものが大きいです。味は色の付き具合で判断しています。釜毎に火の強さが異なり、煮る時間が変わってくるため、全ての様子を見ながら作業を行っています。


生炊き後は、こちら!

この後は冷まして、完成です!
照りがあり、甘く香ばしい匂いが漂ってきて、とても美味しそうです。


ー甘露煮ー

続いて、甘露煮の作り方を紹介します!
揚げた若さぎを、編み目のあるかごの中で層になるように並べていきます。
およそ20層ほど並べていきます。並べることで、どの若さぎにも綺麗に色が付くようになります。

かご一杯に若さぎを入れたら、煮ていきます。

煮終わったら、冷まして完成です!


ー販売ー

こうして出来た佃煮などは、工場併設の店頭で売られています!
種類が豊富で、初めて見るような佃煮も置いてあります。甘じょっぱい佃煮は、ご飯のおかずはもちろん、お酒の肴にも合うこと間違いなしです!

また、お家で食べるのに最適なパック入りのものだけではなく、贈答用のものも販売されています。佃煮が好きな人や県外にお住まいの方に、贈るのもオススメです!


潟上市を始め、八郎湖周辺には多くの佃煮屋さんがあります。
それぞれの工場で作った佃煮が売店で販売されているので、色々なお店を巡って自分好みの佃煮を探してみてはいかがでしょうか?

潟上市にある道の駅しょうわ、通称「ブルーメッセあきた」には、佐藤食品さんの佃煮を始めとする、様々なお店の佃煮が売られています!

佃煮が沢山並べられていて、どれを買うか迷ってしまいそうです……。
各店それぞれのこだわりの佃煮をご賞味ください!

佐藤食品株式会社について詳細は下記URLから!
ホームページ:https://www.satousyokuhin.co.jp/
フェイスブック:https://www.facebook.com/satousyokuhin/

下記URLのページからは、秋田県佃煮組合に所属する各佃煮店のホームページへ飛ぶことができます!
秋田県佃煮組合/佃水会ホームページ:https://smelt.jimdofree.com/about-1/秋田県佃煮組合-佃水会/

ブルーメッセあきたについては下記URLから!
ホームページ:http://www.blume-messe.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/blumesse_akita/?hl=ja


皆さん是非、潟上市に足を運んでみてください!


【著:秋田地域振興局】

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