「忘れるのだから」(詩)
静かな声が
忘れてしまった浜辺に落ちる
丸い石が重なって
砕けた貝たちは白く
甘い色に打ち明けて行く
「もういいかい」
問いかけたかったわけではないけれど
正しい解答を信じることもできないだろう
何も忘れられない
何も忘れてあげられない
それは何もかもを忘れるのに
一瞬しか必要ではなくなることだ
本当は継ぎ接ぎの浜辺に
いつか解けあうのだろうか
私も
私の中に埋まった問いかけも
「もういいよ」
は
「もう無期だよ」
に
きこえる
きこえた
と私はまたひとつ忘れないことを
くっきりと
私自身へと書き記す
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