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日記:ジャイロのコーヒーを淹れてみよう

 みなさん、さいきん流行りの「ていねいな暮らし」にいちばん必要なものはご存知でしょうか。オシャレでていねいな暮らしには…


 ……しゃらくせェーーーーッ!!!!ヤーーーー!!!!!パワーーーーー!!!!!!!!そう、パワーです。筋力、精神力、忍耐力、なんであれパワーがあればいいのです。ロハスだァ!?甘ったれてんじゃねえぞ!!ブタはゴロゴロした生活だがシャケは流れに逆らって川をのぼるッ!!自分の暮らしを向上させるのはパワー!!力で理想を実現しろ!!!

 さて、今日はそんなパワーある暮らしに欠かせないカフェインを補充する方法のひとつ、エスプレッソの記事を書きます。エスプレッソを淹れて脳筋で解決しよう、そういう記事です。


実はコーヒー趣味がある

 べつにnoteで言うことでもなかったので黙っていましたが大学生くらいからなんとなくコーヒーを趣味でやっています。詳しくはないけどある程度のことはわかるくらい。
 ミルはお求めやすいカリタのKH-3AMで、ペーパードリップでやっていました。一応名前は出しましたがこいつはアンティークな見た目がカワイイものの蓋がないので挽いている最中に豆が吹っ飛んでいくというスパルタンなミルでして、おすすめはしません。
(もし勧めるとしたら、お値段重視ならハリオのスマートGあたりでしょうか。挽目調整カンタンだし。もう少しお金を出せるなら金属刃のゼブランかも)

 そんなおれも加齢とともに胃が駄目になってきました。逆流性食道炎と軽度の胃ヘルニア、打ってる注射のせいで毎週ハラを下すというコンボに加え「そもそも忙しくて豆で淹れている時間がない」とコーヒーから遠ざかり気味に……。

 しかしそこで逆転の発想というか、「何をしてもどうせハラを下すのが確定してるなら薬飲んで好きなようにしたら良くね?」と思い至ったので週末にまたコーヒーをやりだしています。


ジャイロのコーヒーが飲みたい

ジャイロの淹れるイタリアン・コーヒーは
こんな旅において格別の楽しみだ
コールタールみたいにまっ黒でドロドロで
同じ量の砂糖を入れて飲む

これをダブルで飲むと 今までの疲れが全部吹っ飛んで
驚くほどの元気が体の芯から湧いてくる

信じられないくらい良い香りで
さらに新しい旅に出向いて行こうという気持ちになる
まさに大地の恵みだ

スティール・ボール・ラン / 荒木飛呂彦

 特に自分をコーヒーに引き戻したきっかけはまさにこれ。ジャイロのコーヒー

 億泰のイタリアン料理評といい「ブタの逆はシャケ」といい、荒木飛呂彦作品のメシの描写はふだん接している当たり前の食べ物に新鮮な驚きを与えてくれる。
 ジョニィが言っているイタリアンコーヒーとはエスプレッソのことでしょうね。砂糖をたくさん入れる飲み方とかマキネッタで淹れてるような描写もそんな気がする。原理的にはこの元気ってのはエナジードリンクと同じでカフェインと砂糖の力なんですが、こうも美味そうに描かれると飲みたくなります。


コンプレッソを買う

 ということでコンプレッソを買いました。

 エスプレッソというのは、極細に挽いたコーヒーの粉にお湯を吹き付けて圧力をかけ一気に抽出するものです。なので自然にトットット……と出せるわけではなく、マキネッタエスプレッソマシンという器具が必要になります。だいたい9気圧くらいをドシャッとかけて絞り出す感じなのですが、これをやろうとすると機械や設備が大仰で高価なうえに邪魔になります。本当はジャイロはマキネッタで淹れてるんですが、いちいち沸かすのもめんどくさい。

 そこで最近のメーカーは上手いこと考えたもので、人間の力でもシリンダーをめいっぱい押すとそのくらいの気圧を出せる道具を作り出しました。そのうちのひとつがこれ、カフラーノのコンプレッソ。ちといいお値段はするんですが、それでも数万円のマシンを買うよりは安いです。

 さて、エスプレッソを淹れよう!となったときに必要なのが極細挽きの豆。
 ところが手近な豆がない。ここのところ仕事終わりにだいたいどのお店も閉まっている闇の労働環境に身を置いていたので豆を買えず……。持っている中挽きの安い粉をダブルグラインドし、極細にすることで応急処置。


 抽出してみる。
 おお、エスプレッソだ……。喉へのキック感がしっかりあって、金属フィルターはオイル分が通るからドロッとした粘度がある。カフェインたっぷり入ってますよというエスプレッソだ…。


課題が見つかる

 ただ、間に合わせでやるとなんでも欠点が出てくるもの。

 一度挽いた豆をもう一度挽いているので、過剰に挽かれているところとぜんぜん刃の当たりが良くないところで挽きムラが出てしまう。粒度が安定しない。こういった細かすぎる粉が出るとメッシュフィルターの目が埋まり、押しても詰まってうまく液が抽出できない。かといってそれを恐れて粗くしすぎると、お湯がコーヒー粉の細かさで適度にせき止められず、ダバダバと下に漏れる
 酸味も問題になってくる。このとき持っていた粉がハイローストだったので、このくらいの焙煎度合いでは酸味が強く残っておりエスプレッソにするとものすごく酸っぱい

 焙煎度合いはまた豆をしっかり買うとして、毎回やるたびに挽き具合が安定しないし淹れづらいというのは、困る…。うーん……。今回もお湯が漏れてしまったし、しっかり圧力がかかっていたかというと微妙。
 二度挽きをやめて豆から一回でしっかり挽き、なおかつ均一な大きさの極細挽きにしないとちょうどいい具合にはならない…。


タイムモアC2を買う

 といったところで土曜日にタイムセールでアマゾンくんからコーヒーミルのタイムモアC2の割引がお知らせされる。買うしかねえ!(なんかモノを買いすぎて記事の趣旨変わってねえか?)

 タイムモアC2はカフェの店主やってる人からなんかも評価されてる上海企業のコーヒーミルで、実際これとコンプレッソでエスプレッソを淹れてる人もいるらしいので「これはチャンス!」とばかりに買いました。コーヒーミルは長く使えるものだから……(言い訳)


 豆もそれ用のものを買ってきました。焙煎もバッチリ深め。買いついでにお店でエスプレッソを注文して味を覚えてもきた。役者は揃った


 まずはミルがどんなものか、タイムモアに試しに2~3粒豆を入れて回してみる…。

 …すげえ……。スーッと滑るように豆が挽ける。刃のブレやガタツキがいっさいない。理想的な挽き心地…。
 良~~い工作精度してるな…。中国製とはいえしかし、いい精度だ…。ためしにバラしてみてもシャフトが少し引き抜きづらく、把持穴とピンピンの極めて近い径でできているのを感じる。手感だけどこんくらいなめらかに合ってるとなると千分台くらいの公差で管理してんじゃねえかな、この穴とシャフト…。んで臼歯との接合部はベアリングで回してる。これはブレないわ。

 ハンドルをつけて回すときにガタガタするミルは、それだけ中の臼歯も前後左右にスペースが遊んでるので、遊んでるぶん不均等になってちゃんと挽けてるところと挽けないところのムラが出てくる。タイムモアC2はそれがない。素晴らしい…。
 おれはアフィリエイトくっついてるブロガーの書いてる製品紹介とかは一回疑ってかかるタチなんだけど、実際タイムモアに関してはモノが確かなんだなって伝わってくる。良いっすね。


最高の準備が出来た





©野田サトル



 ゲンジロちゃんに気合を入れてもらったところで、挽いて抽出していきます。

粉がこぼれているところに性格が出る

 ジョニィよろしくダブルで飲みたいので、豆を14グラム測って挽き具合の調節目盛りを12クリックでグラインド。フィルターに盛ってタンピングします。

 シリンダーをセットしてカップに置く。お湯を注いで蒸らした後に抽出!


 オッ!少しですがクレマが出ましたね。コーヒーの油分がうまいこと出ると出来るらしいです。抽出するときの抵抗がちょっと弱かったので、もっと細かめに挽いて強めにタンピングしたら多く出そうですね。次は11クリックくらいにしようかな?

 さて、カップに0カロリーシロップ(※)をたっぷり入れて飲む…。
(※持病の関係でゼロ)


で、味は?

 ベスト。現状のベストレコードが出た。

 ベストって言葉をお湯にかけて一気に絞り出したらこんな味なんだろうな。
 油分の抽出具合がさすが新鮮な豆といったところで、カップを軽く回して様子をみてもドロッとした粘度の付き方があり合わせの粉の二度挽きよりも強い。ちゃんとエスプレッソ用にした豆と焙煎のおかげでツンと来る酸味は全くない。
 少なくとも、素人の自分が感じられる範囲ではお店のエスプレッソと遜色ない。もっと良いものが作れる余地はあるかもしれないけど、相当しっかりしたものが出来たと思う。


©荒木飛呂彦

 ジョニィの言葉通りのものが自宅で飲める……。グレートですよこいつはぁ~~~~~っ!!

 カフェインが強いので常飲すると良くないものの、週末に眠気をパッと覚ましてやりたいことやるには良いカフェイン源じゃないですかね。力が湧き、「休みにこれができたらな」と思い描いていた予定を実行する気力が満ちてくる。
 今回買ったタイムモアはふつうのペーパードリップ用の挽き具合にも使えるし、ミルはそうそう壊れたりせず長く使えるもんだしでかなり満足度は高いですね。


 とはいえ、今回の記事は暗黒労働のストレスでおれの出費への感覚が狂っていた部分があるので、他人にホイホイおすすめするかというとそうでもないです。ミルの値段も割引がきいていたとはいえコンプレッソとトータルで……やめよう!!やめやめ!!!
 ここまでしなくてもダブルのエスプレッソはいろんなところで良いのが飲めますので、お店に行けばジャイロのコーヒー気分を手軽に味わえると思います。お近くにスタバとかコメダがある人はそこで、他はサイゼリヤのコーヒーマシンなんかは実はシモネリの数十万はくだらない高級機なので、みなさんも砂糖をたっぷり入れておためしあれ…です。



 なんか気の利いた締めが思いつかなかったので、ブラックコーヒーにちなんで気に入った曲を置いておきます。



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