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Learning Bar #2 学びをおこす場のデザイン

前回のnoteでは、大人の「学び」について、「学び」とは何か、なぜ必要か、そして大人の「学び」が起きる場所、Learning Bar CF 曽根崎について紹介した。
もちろん日常的に会員同士の出会いの中で学びは起きているのだか、やはりワークショップ「ラーニング・クラス」開催時の刺激は質も量も大きくなる。
※「ラーニング・クラス」とは
ラーニング・バーの会員自らが進行役(ラーニング・ディレクター)となって行う、約90分のワークショップ。テーマはディレクターによって設定され、学びの要素があればジャンルを問わない。

ラーニング・クラスの3つの学び

ラーニング・クラスには3つの立場があり、それぞれの学びがある。
3つの立場とは、参加者、当日の進行役でありテーマとコンテンツを用意するラーニング・ディレクター、そしてもう一つ欠かせない役割が、クラスのスムーズな運営をサポートする裏方的存在で、かつ包括的な場のコントロールを行うラーニング・サポーター。

参加者は、新たな知識が得られることはもちろん、クラスの場づくりに参画することで能動的な学習ができる。
ディレクターは、コンテンツを準備する過程で、そのテーマについての知識を深めることができ、また、場をファシリテートする経験ができる。
ラーニング・サポーターは、当日の飲食物の用意や資料準備、クラス中の飲み物お代わりの対応など裏方の動きをするのだが、ディレクターがクラスの内容に集中するためには欠かせない。

ディレクターをゲスト講師のように捉えると、サポーターは主催者に値する。冒頭でのディレクターの紹介や、ファシリテーションの補助も行い、実はディレクターよりも場を俯瞰するスキルが求められる。いち参加者として新しい知識に触れつつ、様々なディレクターのスキルを盗むことができる、おいしいポジションでもある。
加えてLearning Bar CF 曽根崎では、必要に応じて、サポーターがディレクターへのクラスのコンテンツアドバイスも行っている。
私自身は、平均して月に3~4本のクラスのサポーターを担当しており、非常に貴重な経験を積ませていただいている。

どの立場でクラスに関わるかによって、味わう感覚がまた異なる点も面白い。
3つとも経験したことがある身から言うと、それぞれ良さがあるが、やはりサポーターには他の二つにはない醍醐味があると思う。
ディレクターは会員になれば誰でも挑戦できるので、ぜひ多くの方に一度チャレンジしていただきたい。

学びを起こす仕掛け

ではそのような多様な学びをおこす場をどのようにデザインしているのか。
他のセミナーやイベントと比べ、違いを生み出すポイントとなるのは以下の点であると考えている。

・少人数での濃い対話が参加者の繋がりをつくる

大人数のセミナーやイベントで、限られた人としかしっかり対話ができず、結局、名刺が増えたものの、顔と名前が一致するのは数人だけ、ということはよくある。ましてやその出会いがきっかけで2度、3度と会う繋がりができる可能性はかなり低い。
そこで、ラーニング・クラスは、原則として参加人数は6名としている。
一度の交流で、顔と名前を一致させ、どのような人なのか記憶に留めておける限界はせいぜい6人程度だからである。
ワークショップ中、互いの顔を見て濃い対話をすることで、短時間でも仲が深まり、ワークショップのテーマという興味範囲の共通性もあり、今度〇〇に一緒に参加しましょう!という次回の再会がその場で計画されたり、連絡先を交換したりということが当たり前に起きる。
名刺交換だけの形式的な交流ではなく本質的なネットワーキングを生み出している。

・アルコールも(適量に)OKの、飲食を伴う和やかな場

中原氏が主催する「ラーニングバー」でも、運営側が工夫を凝らして飲食物を用意し、お酒も提供しているが、その目的は場の雰囲気を和やかにすることである。
ラーニング・クラスでも、軽食や飲み物を必ず用意している。パーティーの飲食物が交流を促進する役割を果たしているように、やはり飲食を伴うと参加者同士の対話が起こりやすいと感じている。

また、お酒を片手に、という点が大人の学びだからこその魅力ではないかと思う。ラーニング・クラス時は、ディレクターもお酒を飲んでもいいことにしており、適度なアルコールが緊張を和らげてくれることもある。
お酒を飲みながらちょっと真剣に語れるという機会は意外とないもので、多くの大人が求めているものなのかもしれない。
いつも、ワークショップの時間が終了したあと、ゆるやかに、バータイムといういわば懇親会のような状態に移行し、閉店まで大人が真面目に語り合うこともしばしばある。

ちなみに、Learning Bar 曽根崎では大人の交流シーンにふさわしい、奥が深く味わい深いお酒ということで、ウイスキー、なかでもスコッチのシングルモルトの啓蒙普及にも努めており、常時60本種類程度のスコッチを置いている。
ウイスキーの奥深さ、魅力についてはぜひまた別の機会にお伝えしたい。

・能動的学びをおこし、深い気づきをつくる2種類のワーク

ラーニング・クラスのコンテンツは、一方的に情報を伝えるのではなく、参加者全員でその場をつくるもの、という認識を持っていただいたうえで、基本的には担当のディレクターの方に自由にお任せしているのだが、必ず入れていただく2種類のワーク(演習)がある。

一つ目は、「導入のワーク」と言い、コンテンツのメイン部分に入る前に行うため自己紹介を兼ねていることも多い。ここでは、テーマに対して直球の質問である必要はなく、アウトプットすることで何らかの気づきを与えられるような問いがベストだ。
本編に入る前に、なるほど!面白い!という感覚を得ることで、脳に刺激を与えるような効果がある。
また、平凡な自己紹介よりも、個人の価値観が出るため、初対面同士でも距離が縮まりやすく、その後に場があたたまりやすいという効果もある。

二つ目は「まとめのワーク」で、一通りコンテンツを終えた後で、参加者自身にじっくり考えてもらうことで、テーマについての学びを深める役割を果たしている。
「聞く」だけではなく、「考える」というプロセスを経ると、得た情報の習熟度が一気に高まる。

さらに、学びの効果を高めるのが「アウトプット」のプロセス。
ラーニング・クラスでは、どちらのワークもひとりずつ全体にシェアしてもらう時間を取っている。
もちろんワーク以外の時間も、常にディレクターに対して、また参加者同士で質問したり、発言をして良い場であるため、個人がアウトプットする機会を持つことが出来る。

数多くのセミナーやイベントなどの学びの場があるが、インプットだけで終わっていることも多々あり、そういった場に私自身が参加者として参加すると、アウトプットのチャンスがなく消化不良の感覚を覚えて帰路に着くことになる。
また、集まった人同士の繋がりができるようなデザインがされていない時にも非常に残念だと感じる。
その会の目的が情報の伝達であれば、必ずしもその限りではないが、やはりせっかく同じテーマに関心を持ち、同じ場に集まったのだから、その偶然の出会いを活かさないともったいないのではないだろうか。
そこで生まれたちょっとした気づき、偶然の出会いが、その後大きな変化をもたらすということは大いにあり得ると思う。

*ラーニング・クラスの詳細情報はLearing Bar CF 曽根崎のHP、Facebookから。(非会員の新規の方はまずはHPのお問合せフォームからメッセージください。)
Learning Bar CF 曽根崎 HP https://www.learningbar.club
Facebook https://www.facebook.com/LearningBarCF/

「多拠点生活」×「パッチワークキャリア」を軸に、自分のパフォーマンスが高まる場所で生活し、自分の専門性や持ち味を活かした仕事・活動を組み合わせキャリアを築くライフスタイルを模索中。大阪にて大人の学びのサードプレイス「Leaning Bar CF曽根崎」企画運営。趣味はウイスキー。