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ぁぉりんふぉ

夏休みに祖父母の家に3日ほどお泊りするのが姉妹のお楽しみであった。
歩いて行ける距離で小さな路地をくねくね曲がって駄菓子屋や古い商店に行くことが子どもだけで探検しているようでわくわくするのだ。
その日のおやつはかき氷を食べよう。ということになり、初めての喫茶店にドキドキしながら店内に入る。
喫茶店。大人の場所。コーヒーの香りがふわっと姉妹を出迎えた。
「いらっしゃい」奥からでかいおばちゃん登場。
姉が「かき氷ください」といった。
「何味にする?」なんと、こんなド田舎の店なのに馴染みの
「いちご・メロン・レモン」以外の「あおりんご」を発見。
店に入るまではいちごと決めていたのに、迷わずあおりんご食べたい!となる。
「いちご、お願いします。」とはっきり言う姉の横で内弁慶の私はもじもじしていた。
でかいおばちゃんに、「妹さんは何にする?」と聞かれドキドキ。
「あ…ぁ…ぁぉりんふぉ*※。△?…」
「え?なんだって!?聞こえないよ」でかいおばちゃん声も大きい。怖い。
とっさに姉の後ろに隠れる。
姉が見兼ねて「あおりんごです。」としゃきしゃき答える。
わーい!やったぁ!店を出た私はニコニコ。
今日の緑はメロンじゃないんだ。あおりんごなんだ♪
帰り道、「あんた、はっきり言いや。気持ち悪い。ぁぉりんふぉ…ってなに!」と大爆笑された。
以後、しばらく私は「ぁぉりんふぉ」と姉から呼ばれ続けるのであった。

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