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必要なのはやる気より覚悟

気づけばすっかり秋。これからまた寒く暗くなっていくスウェーデンですが、まずは私の一番好きなこの季節の空気を存分に味わっています。

先日の選挙の結果、政治は少し保守的な方向へ、つまり右に傾くことになりました。私自身、ここでは外国人。周りでは、この先外国人に対する福祉の補助や教育制度に変更があるのではと心配する声を聞きます。そもそも現時点で、スウェーデンって優しすぎるんじゃないかしら、と思うほど、他国に比べればずっと外国人に寛容なこの国。パンデミック、戦争、インフレーション、資源や食糧不足…この状況下では誰しも自分の身を案じるもの。寛容さに陰りが見られても仕方のないことかもしれません。

ITの専門学校を卒業した私は、同じように専門学校に通おうと考えている日本人の方から度々相談を受けるようになりました。私は学費を払わず奨学金までいただいて通ったのですが、もしかすると今後はスウェーデン国籍でなければそこまで優遇してもらえないのではないかと悲観している方もいます。変化のスピードが加速する昨今では、いつ何がどうなるか想像している暇さえないほど。もともと法や制度がコロコロ変わるこの国では尚更、ニュースのヘッドラインを追っているだけでは検討もつきません。

私は四年ほど前、ここで生きていくために必要に迫られ、ITの道に進むことを決意しました。数学にものすごい苦手意識があったのに、入学に数学の資格が必要だったためスウェーデン語で高校数学を学び直し、簡易なものながらなんとか入学試験を突破し、二年間何度も何度も半泣きになりながら講義や課題をこなし、晴れて卒業。思えばその決断のお陰で今があります。

先日、「科学的に見てもやる気はやり始めてから出るもの。やる気が出るまで待っていても永遠に出ない」という話を小耳に挟み、なるほどな、と。何を始めるにも不安やめんどくささは付き物。賢い人間ほどやらない理由をいくらでも作り出して正当化してしまうものではないでしょうか。

私にとって、やるしかない、後がないという不可抗力が原動力と継続力に変わりました。そして、やり始めてから数学やプログラミングの楽しさに気づき、追い風になりました。つまり、やると決めること、その先に待つであろう苦難に立ち向かう覚悟をすることがその次のやる気へと繋がる。そして最終的には達成感に変わるのです。

やってみなければ分からないし、途中でやめてしまうことになったとしても、全ての経験は何かに活かされるもの。だから、まずはその世界に飛び込むことを決めること。どうしようかな、でもあれがこうだからな、と言っているうちに世界はどんどん変わります。昨日開いていた扉が今日には閉まっていたなんてことのないように、片足つっこんじゃいましょうよ。

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