「疲れた時は、顔を上げて深呼吸してみたら。」誰かに言われたこの言葉。

誰に言われたんだろ…。そんなことを考えながら虚ろんだ瞳を窓辺に向けると、閉めたカーテンの隙間から温かそうな日差しが差し込んでる。部屋の中より外の方が暖かそう。春はもうすぐそこまで来てる。

友人に言われたのか、親に言われたのか、仕事関係の人に言われたのか、いつ言われたのかさえ覚えてない…。

たぶんそれくらい何気ない会話の中で、この言葉は突然私に投げ掛けられ、受け止めてみたはいいものの、その時の私には必要なかったから記憶の片隅にそっと仕舞い込んでいたんだと思います。

そんな小さな無機質な言葉が、今頭の中にある。きっと今こそ必要だからと、身体か心どちらかが判断したからかなと思ってみたりしてます。

と言うのも、ここ最近ずっと忙しく過ごしていて、まともに眠ってなかったせいか久しぶりに体調を崩してしまいました。私は疲れが溜まって横になることはあっても、年に1,2回くらいしか具合が悪くなったりしない人なんですけど、この数日間は身体が動かせないほどぐったりしてました。

普段は全く体調を壊さないせいか、久しぶりに味わうこの感覚はベッドからサイドテーブルに手を伸ばすことすら辛くて、「あーしんどい…。」と思わず口に出してしまうほどでした。

そんな状態でこの数日間過ごしていてると、突然思い出したこの言葉。「疲れた時は、顔を上げて深呼吸してみたら。」

朧気にすら覚えてなかった記憶は、徐々に形を作り姿を現してきた。静寂な湖底に大きな岩を落とし噴煙の様にまきあがった砂みたいに、記憶の片隅からこの言葉が次第に頭を埋めていく。

「顔を上げて…。深呼吸してみたら…。か」と言葉を噛み砕いてみる。

顔を上げても天井しか見えない。外に出てたら空が見れるのか…と重い腰を上げて、ベランダへと繰り出す。やっぱり部屋の中より全然暖かい。外へ繰り出したくなるこの季節がやってきたことを肌で感じる。でも、何日かぶりにまともに太陽を見たのでその光はすごく眩くて、思わず目を細めてしまう。

とてもじゃないけど空を直視出来ないと思って、目が馴染むまで視線を落とした。思い返してみれば、子供の頃に比べると空を見上げる回数が相当減った気がする。深呼吸なんか久しくしてない。

子供の頃なんて、飛行機雲を作りながら飛ぶ飛行機が見えなくなるまで意味もなくずっと見ていたり、夜は光って見えるのに朝は半透明に見える月を不思議がってじっと見てたりしてたっけと、ベランダで心地いい風を感じながら思い出しました。

でも大人になると制限や制約、考えなくちゃならないことがいろいろと増えて、いつしか空を見上げる時間すら無くしてしまう。

使える時間は大人も子供も１日24時間しかないのに、目を向ける物事だけが増え続けていくから大人になればなるほど時が経つのが早くなるのかな。と思った。

もしほんとにそうなら、私はもっと長く空を見ていたい。止まることなく秒針が時を刻む中、少なくとも今この瞬間の私にはその時間がある。

大きく息を吸って吐く深呼吸。いつぶりか分からないけど、吸い込んだ空気は部屋のそれよりよっぽど澄みきっていて、息を吐くと同時にほのかに甘い香りが鼻から抜ける。

ほんとに心地いい。数日間、部屋の中の空気だけで過ごしていたからか、外の空気はとても美味しく肺に取り込むほどに身体が喜んでる。心なしかあれだけしんどかった身体が少しだけ楽になった気がする…。

まだ昼下がり、日が沈むまで時間はたっぷりある。この記事を書き終えた後も気の済むまで空を見上げ、澄みきった空気を身体に取り込んでみようと思います。

「疲れた時は、顔を上げて深呼吸してみたら。」名前も分からない誰かに、いつ貰ったかのすら分からないこの言葉。

今日はおかげで風に空気や陽光に病んだ身体をそっと解きほぐして貰えた。

これからは記憶の片隅に置くのではなく、ずっと大切にしようと思った。

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いつもならここで終わるんですけど、今日は昨日の夜にずっと寝てばかりは退屈であまりにも何かしときたくて描いた絵を載せます。

絵からは何年も離れていたので、まだリハビリ中で綺麗な絵や個人的に好きな絵を模写させて頂いてるんですけど、昨日見付けた絵の雰囲気がとても好きで描かせて頂きました。

いつかリハビリが終わって、自信を取り戻せたらもっと自分なりに表現した絵を載せたいと思っています。

明日もお休みなので、皆さんの記事を読ませて頂いたり身体が元気なら絵を描いてみたりしながら、気晴らしにベランダで春の心地いい風に触れていようと思います。

この記事を読んで下さった皆さんも風邪などには十分お気をつけ下さい。

では今回はこの辺で終わりたいと思います。   最後まで読んで頂きありがとうございました！