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小説

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短編が多くなる気がします。長編も書きたい。
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短編小説|濃藍

短編小説|濃藍

冷めきったコーヒーを飲み干し、半端に書き殴った原稿を寄せ集めて鞄に突っ込んだ。とにかく人の気配のする場所で時間を潰せれば、別に喫茶店でなくても良かった。店を出て、隅田川沿いに向かう。体は鉛のように重く、頭もぼんやりする。橋の手すりに腕をのせ、鈍く揺れる川面をじっと見つめていた。鴨の親子がゆっくりと泳いでいく姿は懐かしい気持ちがする。

「ダメですよ」、突然左腕を掴まれ、反射で振り解いた。青いシャツ

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短編小説|毒とミルク

短編小説|毒とミルク

「今までの彼氏から、なんて呼ばれてたの」

男は長い髪と共に、肩にもたれかかってきた。強いアルコールと煙草、体臭とマルジェラの香水が混ざった、ぐちゃぐちゃな香りがする。気分が悪くなり、吐き気を催した。触っていい、なんて言ってないのに。

「うんーー、色々かな。好きなように呼んでくれていいよ」
「りんちゃん、にしようかな」
「それはだめ」
「じゃあ、なんて呼べばいいのさ」

コンビニでアイスを買うよ

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