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コロナはサイコマジック⁈

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「ホンマでっかTV」「英雄たちの選択」など出演されている脳科学者 認知神経科学者 中野信子さんの「ペルソナ」を読みました。
「ペルソナ」と言うと80年代、車好きだった私はあまり売れなかったMAZDAの車を思い出してしまいましたが、その意味は

「他者に対峙する時に現れる自己の外的側面」

よくあの人はこんな感じに見えるとか、雰囲気や自分への対応の仕方でその人を評価してしまうようなところが誰しもあると思いますが、それが本当のその人かはわかりませんし、外面が良い人も悪い人もいるわけです。

またわざと本当の自分を出していない人もいるかもしれませんし、そうでなくても自分の出し方が下手で誤解されてしまう人もいるのかもしれません。

中野信子さんはメンサ会員であったことが広く知られていますが、ご本人はたまたま受けたら受かってしまったと自分を特別だとは思っていなくて、ただ回りからは変わった子どもだと思われて育ち、自分がコミュニケーション能力がなかったと自覚しておられます。

学校の先生に「あなたはもっとテレビを見なさい」と言われたようですが、やはりひとりで本を読んでいることの方が興味をそそられたようでした。

ホンマでっかTVに出演してからお笑いの方々のツッコミやコミュニケーション能力を目の当たりにして、勉強になったことがたくさんあったと言われていました。

そもそもメンサ会員はIQが高くて特別な人達だと見受けられますが、世界で13万人、日本で4700人 全人口の約2% けれども50人クラスに1人の割合くらいだそうです。パズルだけがメチャクチャ得意な人や何かだけに特化した能力を持っている人もいるわけで、頭は良いのかもしれないけれど同じ頭が良いなら東大の学生仲間の方がよほど多方面で知的な話ができて面白かったと言っています。

ご本人もメンサ会員であることを肩書きに使うなと言われたそうで、会員資格も継続はしなかったようです。
資格は資格なのだから充分な肩書きだと思いますが色々なことを言う人はいるものです。

その中で今年92歳のチリの映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーが「コロナはサイコマジックだ」と言われていたことを取り上げていました。

サイコマジックとは「カウンセリングと似て非なるもの」とありますが、心の悩みを抱えた人々に行動やパフォーマンスやスキンシップを与えることで怒り、トラウマからの解放や精神的な安寧をもたらすことです。

つまりコロナは人の行動を変えていく自然のサイコマジックだと言っているのです。

ホドロフスキーは俳優や作家でもありタロット占い師でもありますが、一人ではなく多に対してサイコマジックを行ってきていた中、パンデミックまでも捉えたということは新鮮で刺激的だと言われています。

確かにコロナ禍で人は当初どうすることもできず、自然と自分の生活を変えていかなければならなくなってきて、安全に生き延びていくために社会全体も変わっていくというのは自然のサイコマジックなのかもしれません。

普通なら病んでいる人をあれやこれやと手を差し伸べて助けるのがサイコマジックなのでしょうけれど、このコロナのせいで皆自分自身で変えようと言わば自分自身でカウンセラーして気がついて努力するようになったのではないかと言っているのではないかと理解しました。

そう言った意味ではどうすることもできない相手に立ち向かう強さを求められている時代だと思います。

他にも〈毒親〉の本や〈日本人の謎の笑い〉などのテーマにも関心があり書かれています。

〈毒親〉

子が「毒親育ち」の苦しみからいつまでも逃れられないのは、自分が本当は親を許したいと思っていて、そうすることができない愛情と憎しみの呪縛の中で関係をこじらせてしまっているのではないか。
多くの人が毒親について誰かに話を聞いてほしいと感じるのは、親に対して抱く憎しみや恨みといった負の感情の裏に、愛してほしかったという感情を抱いているのではないか。
毒親というのは子から見た主観的な親との関係性にもとづく親の姿と捉えるのが自然だ。

そもそも毒親とは…
動物界にも目を転じながら、なぜ人間だけが親子関係をこじらせてしまうのか…
など分析されています。

〈日本人の謎の笑い〉

笑ってごまかすのは日本人だけと言われているそうで、日本人の笑いが人間関係上に起こる緊張を緩和するためのツールであったとすれば、日本人にとって最も恐ろしいのは「権威と権力ではなくて世間であり空気である」ということなのではないか。

作者は親との葛藤、少女時代の孤独、男社会の壁…など様々な思考の遍歴を綴っています。

印象に残ったことです。

わたしは存在しない。
これは悲しいことではない。
透明な存在であることを嘆く必要はない。だからこそ来るべき変化に対応することができるからだ。
もう変化のときは来ている。
失われた世代として、透明に生きてきたからこそ、どんな姿にもなることができる。


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