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「あなたの酒蔵を買いたい」という海外からのニーズが最近増えているらしい。

こんにちは。あずまです。
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海外から注目されつつある兆しかもしれない。

最近、目下立ち上げ中のプロジェクトの調査の一環として、酒蔵の買収についてよくリサーチしています。面白いことに、そこでよく耳にするのが「酒蔵を購入したいという海外からのニーズが増えている」ということです。特にここ数年でその数が爆増しているようです。

海外の方にとって、日本酒の酒蔵に対する価値が強く感じられつつある兆しなのかなと個人的には感じます。「日本人からの日本酒の酒蔵を買いたいというニーズ」はあまり無いようです。海外からの注目が高まっている明確な証拠なのかもしれません。

では一体、どのような人が注目しているのか。

海外からのニーズが高まっているという昨今ですが、どのような人からのニーズが多いのでしょうか。答えは明らかに富裕層、事業家、投資家です。

その資産性将来性を総合的に判断して価値があると注目されているのだと思います。「これから確実に伸びる業界」として産業が認識され、「であればいっそのこと、メーカーになっちゃおう」という発想でしょうか。

なるほど。。。と思います。

とはいえ、製造事業はビジネスとして難しい。

①原価率の問題

とはいえ、日本酒は原価率が他のお酒に比べて高いのも事実です。ビジネスとして、しっかりとした利益を獲得していくためには、小規模で製造したところで儲かる仕組みを作るのは困難です。スケールメリットや設備投資により、製造原価をどれだけ低く抑えるかが鍵になります。

②キャッシュフローの問題

もう一つ、忘れてはならない難しさとして、原料仕入費用がキャッシュフローとして最初にあること。先に現金が出ていくので、利益は後から回収するモデルになります。「原料を仕入れたのに全然売れない!」なんてことも十分あり得ます。

③製造計画は年度初めに作成し、基本的に計画は変更不可

これも難しい課題です。基本的に日本酒の製造はその年の製造計画に従って行います。これは蔵の醸造責任者である「杜氏」と呼ばれる方を中心に作成します。その計画をもとに原料である米を仕入れます。その計画をもとに仕込みから瓶詰めまでの生産計画を立てます

つまり、原料の仕入れに上限がある以上、増産することが難しいのです。また、計画に従って人員配置も考えているので、「増産=労働負荷を増やす」ことになりますので、人的リソース的な難しさもあります。大手メーカーのように簡単に増産できるわけではないのです。

④業界のネットワークが濃密(免疫反応をどう克服するか)

これも相当難しい課題です。実は一番時間がかかり、ハードな壁かもしれません。どうしても歴史のある業界ですので、新規参入者(悪く言うと、新参者)は動きづらい業界であることも間違いありません。

読者の皆様の地元で考えていただければと思いますが、例えば、田舎に新しく都会から来た人がキャンプ場を作ったとします。

地元の方々は当然、それを否定したり非難するでしょう。確実に地元の方々の話題のネタになります。実際に僕の地元も田舎ですが、そういう話をよく聞きます。「どうせすぐ潰れる」なんて厳しい言葉もあると思います。僕はそれを「免疫反応」と呼んでいます。地域の方々を「体内にずっと居続けている免疫細胞」と捉え、外部参入者を「突然体外から来たウイルス」とする考え方です。あながち間違ってはいないと思います。これは仕方のないことです。
地元の方々が大々地域で守り抜いてきたにも関わらず、いきなり外部の人間が土地に新入して何やら新しいことを始めようとしているわけですから。

この免疫反応と言われる拒否反応に近いものをどう克服し、地域住民の方々と共存していくか。これが最も難しい課題だと僕は考えています。

では日本酒産業の何が魅力なのか。

ビジネスモデルとしての設計が難しい日本酒の製造事業。魅力は利益側面ではないのかもしれません。

日本の伝統文化の一つである日本酒の蔵を保有することにより、それを資産と捉える考え方もあるのではないでしょうか。

海外といっても中国からのニーズがマジョリティであるという話も聞きます。それだけの視点で考えれば、中国向け日本酒輸出金額も年々顕著に増加しているため、その市場ポテンシャルに目をつけているのかもしれません。

日本国内という狭い市場では、国内消費量も減少の一途を辿っています。日本国内だけで酒造事業を行うとすれば、時代の状況も状況なので、それは少しナンセンスかもしれません。

「最初から海外前提」という設定であれば、利益を獲得することも難しくありません。こういった海外からの酒蔵買収ニーズの増加からも、海外における日本酒市場ポテンシャルが高まりつつあるのを感じます。

とはいえ、ビジネスとしてではなく、伝統文化として注目してもらうことがゴールです金のなる木(商品、資産)としてではなく、共感するモノ(文化、ストーリー)として認められるようになる必要があります。それが実現すれば、まだまだ伸びる業界だと思います。それをどうやって伝えていくか。

例えば、日本酒発酵の仕組みの特徴である「並行複発酵

デンプンを原材料として最終的にエタノールを得る醸造のプロセスとしての発酵において、酵素によってデンプンがブドウ糖に変化する糖化と、ブドウ糖が出芽酵母の働きによってエタノールに変化する発酵とが、同一容器の液中で並行して数同時に行われる形態の発酵である。

※Wikipediaより引用

この仕組みなどもまだまだ海外には認知されていません。このような製品を造るプロセスや蔵の歴史などもストーリーとして伝えていく必要がありそうです。

いずれにせよ、今はまだ「ビジネス」として日本酒業界が注目されているフェーズです。でもこれも業界としては「グローバル化」という意味で大きな成長ではないでしょうか。
大事なのはこの次のフェーズです。「文化や歴史」として「共感」してもらうためにはどうすれば良いか。これを業界全体として考えていくべきではないでしょうか。

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