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12球団ドラフト展望⑦~埼玉西武編~

山賊打線でパ・リーグを2年連続で制した埼玉西武だが、今シーズンは浅村栄斗(現・楽天)に続き、秋山翔吾(現・レッズ)が抜けた打線の勢いに陰りが見え、Bクラスに低迷している。鈴木将平や高木渉といった新顔が一軍経験を積んだものの、秋山の穴は大きく、次世代の野手陣のコアとなる選手の必要性を痛感する1年となった。

弱点の投手陣強化のために、2013年の森友哉以降、投手を1位指名し続けた反動が出たともいえるだけに、今年のドラフト会議では、久々に野手の1位指名を検討したい。

主力野手の顔触れもここ数年変化が少ないこともあり、山川穂高や源田壮亮といった替えの利かない選手のバックアップのできる選手や、不足気味の左投手もドラフトで獲得したいところだ。

1 中軸を打てる打者

チームの得点力低下に加えて、中村剛也が大ベテランの域に差し掛かっているだけに、中軸候補の指名は不可欠だ。

今年の目玉となる佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)は、粗さは残るものの、広角に長打を放つパワフルな打撃が売りの左の強打者だ。三塁手を守ることができるのも西武の補強ポイントに合致する。一方で、左打ちの高木や西川愛也との兼ね合いを考えると、右打者の方がより良いとも考えられる。佐藤の魅力とチームバランス、どちらを取るか難しい判断を迫られることになる。

牧秀悟(中央大・内野手・右打)を獲得できれば、将来的には二塁手もしくは三塁手として起用し、中軸を任すことができるかもしれない。二塁手で起用する場合は、外崎修汰を外野に回すこともでき、選手起用に幅が出る。

しかしながら、佐藤も牧も目玉候補となるだけに、他球団の動向が気になってくる。他球団を出し抜くことを考えると、元謙太(中京・内野手・右打)を一本釣りしたい。OBの秋山幸二のように長打力と脚力を兼ね備え、走攻守全ての面でチームの顔になる可能性を秘めている。今夏の岐阜大会には、渡辺久信GMも視察に訪れていただけに、指名されるか注目したい。

2 守備力の高い二遊間

リーグを代表する外崎と源田の二遊間は、UZRの観点でも球界トップレベルの指標を誇る。強力な二遊間がいる反面、二人に有事があった際は大きな不安材料を抱えており、即戦力に近いバックアッパーが必要だ。

特にショートの源田は、入団以来ほぼ1人でポジションを守り抜いており、今後負担が大きくなることが予想される。

先日の都市対抗野球の西関東予選でMVPを獲得した小豆澤誠(ENEOS・内野手・左打)は、これまでの守備職人としての印象に加えて、逆方向への長打も放つ新しい一面を見せた。大学時代はショートを守っていたが、現在はセカンドを務めている。複数のポジションをこなす点は、アドバンテージとなる。

中位以下での指名を考えると、矢野雅哉(亜細亜大・内野手・左打)小川龍成(國學院大・内野手・左打)が候補に上がってくる。いずれも脚力と守備力が武器の選手なだけに、入団後は打撃の成長度合いが問われる。

3 左投手

近年は投手の1位指名を続けたが、左腕は2017年の齋藤大将のみで、その前は菊池雄星(現・マリナーズ)まで遡る。3年目の齋藤が一軍定着に至っていないだけに、頼れる左腕は喉から手が出るほど欲しい。

守護神・増田達至の去就が気がかりなリリーフの補強を兼ねると、藤井聖(ENEOS・投手・左投)が第一候補に上がってくる。先発でも140キロ台後半を記録するストレートを持つが、常時フルパワーの投球を見せるためにも、リリーフでの起用を考えたいところだ。

先発投手のレベルアップを図るなら、山野太一(東北福祉大・投手・左投)鈴木昭汰(法政大・投手・左投)高野脩太(関西大・投手・左投)も有力な候補だ。

山野は小柄だが、ストレートとスライダー、チェンジアップのコンビネーションで打者を翻弄する。鈴木はかねてから総合力の高い投手だったが、球速帯が140キロ台後半に達し、スケールアップを果たした。真上から振り下ろす高野の腕の振りは、西武投手陣には少ない角度だ。

まとめ

投手偏重ドラフトから一転、野手中心のドラフトにはリスクを孕んでいるのは事実だ。しかしながら、1980年代初頭から90年代中盤にかけての黄金期や、ここ2年の優勝は野手陣の充実あってこそだった。

現在の西武は、2013年の1位指名した強打の捕手の森と、2位指名した大砲・山川の加入が、チームに大きなプラスをもたらしたことで、繁栄を迎えた。

突き抜けた打力の選手がいたことによって、守備に長けていた反面、打撃に課題のあった源田をショートで起用し続けることができた。源田のその後の活躍と、チームの躍進は周知のとおりだ。

果たして10年後は畏れ多い百獣の王なのか、皆が愛でる子猫ちゃんなのか、どちらがライオンズに相応しいかは一目瞭然だ。投手王国復活はもちろん、中心となる野手の確保にその命運がかかっている。

参考



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