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【AMDhaus北海道大学採用記念座談会】AMDlab建築系メンバーで「建築教育」について語ってみた!

こんにちは!AMDlabの加賀美です。突然ですが、1つご報告をさせてください。この度、以前noteでも紹介した自社サービス建築専門オンライン学校「AMDhaus」がリニューアルする運びとなりました。
今までは建築に係る他業種の方を講師として招き、体系的に建築を学べるカリキュラムを配信していましたが、今後はBIMやCD分野に特化し、RevitやRhinoceros+Grasshopper、ForgeやWebを学べるカリキュラムを組んでいきます。また、そのカリキュラムをなんと!北海道大学で使用していただくことが決定致しました!

AMDlabは、WEB系のメンバー(システムエンジニアやWEBデザイナー)が大半を占めるのですが、建築学科出身のメンバーや、建築業界での設計の実務経験があるメンバー等、様々な建築バックグラウンドを持つメンバーも多く在籍しています。今回は、オンライン建築学校AMDhausのリニューアルと大学での採用を記念し、AMDlab建築系メンバーでの座談会を開催しました。様々な視点からAMDhausや建築教育にスポットライトを当てて、ざっくばらんにお話しています。
こういった座談会は初めての試みのため、最終的にどんどん企画会議のようになっていくのは多めにみていただき…どんな考えを持った建築系メンバーが在籍しているのか、知っていただけると嬉しいです。


◇座談会参加メンバープロフィール◇

河野:前職では一貫構造計算プログラムのサポートデスク、Revitアドインの開発に携わる。AMDlabではBIM、エンジニアリング関連のシステム開発を担当している。

秋山:前職となる株式会社日企設計では、マンションやホテルの意匠設計業務に従事。AMDlabではBIM関連業務を担当し、AMDhausプロジェクトにはメインメンバーとして参画している。

新嶋:大学の理工学部を卒業後、建築の道を志して建築系専門学校へ。隈研吾事務所、ファーストリテイリングで設計者として経験を積み、AMDlabには営業担当として入社。

齋藤:建築学科を卒業し、AMDlabにはインターンを経て新卒で入社。RhinocerosやGrasshopperでの部屋・家具のレイアウト自動作成ツール、Revitでの鉄筋配置ツールの開発等に携わる。


1⃣AMDhaus紹介・プロジェクト参画メンバーからみたAMDhaus

河野:皆さん今日はよろしくお願いします。早速ですが、弊社の提供しているサービスに、オンラインの建築学校AMDhausがあります。建築関係の方々は、この名称を聞いて最初にドイツのバウハウスを連想するんじゃないかと思いますが、AMDhausがどのような構想で始まったのか、バウハウスとの関連性など、ざっくばらんに教えていただければと思います。

秋山:バウハウスは、すべての芸術の総合作品としての建築をゴールにしており、カリキュラムもそれに沿ってあらゆる芸術に通じられるようつくられていますよね。AMDhausの名前にハウスって入れたのも、バウハウスの理念を基にしているからなんですけど、実際、建築を作るためには建築以外の分野の知識も必要になると思っていて。もっと、建築のために総合的な分野を学べる場所を作ろうっていうところからスタートしました。なので、AMDhausのカリキュラムは、一般的な建築系の学校ではあまり見ない、経営とか、コンピュテーショナルデザインとか、音楽とか、いろんな方面から広く建築を学べるものをカリキュラムとして構想しています。もともと大学のカリキュラムの一つとして取り入れてもらいたいっていうのもあったので、一年間を四期に分けて、期ごとにカリキュラムを選べるようにもしていますね。

新嶋:それって例えば、一期は美術、二期は経営、三期は建築歴史、みたいな感じで、AMDlab側が期ごとにジャンル変えてくっていう感じですか?それとも期の中で講師もしくは講義を選べて、好きなものを学べるんですか?

秋山:AMDlab側で各期のテーマを決めて、例えば一期のテーマが経営であれば、経営に関する講義をしてくださる講師の方が4~5名くらいいて、好きなものを選べます。全て受講すると動画15本くらいあるので、その期のテーマについて体系的に学べるかなと。経営というテーマでも、講師の方によって話す内容がそれぞれ違うので、いろんな角度から経営を学ぶことができるという狙いです。ただ、本当はもうちょっと大学のゼミっぽく、リアルなやり取りがある講義が理想でした。現状の仕組みは、少し一方通行感があるかもしれません。

新嶋:少し話が逸れるんですが、僕は大学で建築を学んでいなくて。大学建築の雰囲気って知らないんですが、イメージとして、どの研究室に所属したかによって系譜というか、色が出るなあってすごく感じるんです。

秋山:うんうん。

新嶋:AMDhausも研究室とかゼミみたいな感じにするのであれば、大学の研究室みたいなコミュニティというか、内の仲間じゃないですけど、メンバーみたいな感じを目指しているんでしょうか?AMDhausならではの新しい視点ってあるんですか?

秋山:AMDhausは、オンライン上にある色んなゼミを横断できるイメージです。色んなゼミに入って、色んな考え方を学ぶ形がAMDhausの新しさだと思ってますね。バウハウスは当然オフラインなので、実際に色んな人と出会いながら建築を学んでたと思うんですけど、AMDhausはオンラインながらも色んな人と交流をしていけるよう、「ノート」などのコミュニティ機能も用意しています。生徒は全国から集まるので、あの大学のあの人!みたいな感じで交流も広がるかなと。「教育に自由を」っていうのがAMDhausの中で一つのテーマなんですけど、教育ってもっと自分の学びたいことを自発的に学ぶべきものだと僕は思っていて、AMDhausではそれができると思っています。

河野:AMDhausが教育コンテンツとして確立したら、AMDhausで講師をしたっていう実績だったりとか、生徒側でいうと、こういう課程を修了しましたみたいな、客観的に示せるシステムがあると面白そうです。

秋山:そうですね。建築に必要なスキルの共通認識化のようなイメージですね。AMDhausのコースを受講した資格を証明する仕組みが出来れば、企業にアピールできるだとか、リクルートにうまく繋がりますよね。あと、AMDhausは受講者のモチベーション低下が一番の課題だと思っていました。オンライン形式なので、誰の目にも触れない中でパソコンに向かって勉強するっていうのは、モチベーションを維持するのが辛いと思うんですよね。

新嶋:受講を考えている人からしたら、資格がとれて、その先の就職とか進路に繋がるかどうかは大きな受講理由の一つになると思いますね。既に実務してる人の受講モチベーションは多分また違うし、分けたほうがいいのかな?受講する人の属性によって何にモチベーションややりがいを見出すかはきっと違いますよね。

秋山:モチベーションを刺激する取り組みとして、一学年二学年…みたいに、ステップアップすることで受けられるコースが増えるような仕組みも検討していたんですよ。テストを受けてバッジ取得すれば、次のコースに飛び級で行けるみたな。実務されてる方も、資格とかできるとモチベーション維持に繋がるかもしれませんね。


2⃣実務経験者から見たAMDhaus
河野:
次に、設計事務所や企業で意匠設計者としての実務を経験された新嶋さんにお伺いします。実務の観点から、AMDhausのような建築教育サービスについて、考えられていることや期待していることがあれば教えてください。

新嶋:答えになるか分からないですけど…僕大学は理工学部の経営システム工学科出身なんですが、途中でやっぱり建築勉強したいなってなったんで、学部を卒業後二年間アトリエを目指す専門学校に行ったんです。二年そこで勉強して、ポートフォリオ作って、隈研吾事務所の門叩いたんです。結果だけ見れば、そっちのルートで入れてもらえたんですよ。

河野:専門学校卒の方は珍しかったんですか?

新嶋:当時は珍しかったです。専門学校卒でも、事務所は何かを評価してくれて採用してくれたんですよね。そこで事務所側が感じたことって、AMDhausに何かしら取り入れられるんじゃないかなって。アトリエとなると、一緒に仕事してみて、インターンやらせてみて判断っていうのは全然あると思うんです。AMDhausではその人がインターンに行ったりした時に、戦力になるかとか、表現の幅が広いよねとか引き出し多いよね、みたいなところで一緒に仕事したいなと思ってもらえる教育の仕方をしていけば、その次につながるのかなと。

秋山:めちゃくちゃ共感できますね、僕は。

新嶋:とは言っても入所するためにはポートフォリオは用意しなきゃいけなくて。AMDhausのコース受講したからポートフォリオができるのかって言われると、今は多分そうじゃないと思います。大学の建築学部に入ったんだったら、建築学部でやったことがポートフォリオになりますよね。それと同じように、AMDhausでやった何かが作品として残って、ポートフォリオに加えられるんであれば、就職する時プラスになると思うんですね。例えば僕が行っていた専門学校では、実施図を一式書かせて、それを持って事務所回れるように、手土産を持たせてあげるっていうのは有りましたね。

河野:もし新嶋さんが建築を学びたいと思った大学生の頃に戻ったとして、例えば受講したらポートフォリオの一部が出来てますみたいなオンライン講座って魅力的なんですかね?一つのコースがハンズオンみたいになってて、受講したら成果物が一つ上がって、それをポートフォリオに組み込めますよ、みたいな。

新嶋:うん、やっぱそれがあれば大きいなあと思いますね。就職の時、初対面の人に判断される時は、まずポートフォリオと経歴ですもんね。 

河野:ハンズオンしながら、建築×プログラミングでポートフォリオ埋めるとか、建築×経営でポートフォリオ埋めるとか。講師も建築サイドを知っている方だと思うので、講師の特徴を生かしたポートフォリオを作りましょう、みたいな講義は出来るんじゃないでしょうか。

秋山:それ面白いですね、確かに。でもいろんなテーマを建築に落とし込むの大変そうじゃないですか?

河野:建築作品じゃなくてもいいんじゃないですかね?

秋山:それはめちゃくちゃいいかもしれない。さっき新嶋さんがおっしゃっていた戦力の話なんですけど、僕自身の経験でいうと、組織設計事務所に就職して実務で必要なのって、いかにBIMとかCADみたいなデジタル技術が使えるかとか、実務を早く行えるかってことだったんですよね。そういった能力を身に着けていれば、まず就職した時強みになるなって。AMDhausはコンピュテーショナルデザインとかBIMとかの授業に今後力を入れていくので、それを学んだ学生が、実務をスタートする時にデジタル技術が使えるっていう特権を使ってもらえると嬉しいですね。

新嶋:AMDhausを公開した当初に、AMDhausについて記事を書いてくれてた方も、コンピュテーショナルデザインに関してはまとまった情報が少ないから、そこを体系的に提供してくれれば嬉しい、ってご意見ありましたもんね。

秋山:あとは、学生の経済的な負担もAMDhausで突破できそうな気がしてる。AMDhausでソフトウェアを学べば、アルバイトでそのスキルを使いながら、建築設計の部分を学べますよ、みたいな。なので、みんなリアルな学校に通いながら、サブ教材としてAMDhaus使っていただくのはありだなって。


3⃣AMDlab社員からみるAMDhaus

河野
:次に、コンピューテショナルデザイナーとして、新卒でAMDlabに入社された斎藤さんにお伺いします。斎藤さんはこの1年で多くの建築関係者とやり取りを行い、様々なシステムの開発に携わられたかと思います。そのような経験の中で、実務の方々と認識の違いを感じた場面や、大学では習わなかったけどこういったことを知りたかった等、印象に残っている出来事があれば教えてください。

齋藤:そうですね。システムづくりに関して、設計者とエンジニア間での認識のすり合わせが難しいなと感じることはあるかもしれないです。エンジニアリングでできること、できないことはやっぱりあるので。

河野:確かに、建築関係の方は優秀だから、やろうと思ったら自分でプログラミングもできちゃいますよね。でも、それが課題解決のためのベストなやり方かってなると、必ずそうとは限らないのが難しいところです。

新嶋:逆に効率悪いみたいな?

河野:そういうケースもあると思います。DXの流れは当然あるのですが、ゼロから作るものってあんまりないと思うんですよ。現状のシステムに対して、こういう動きにしたいだとか機能を追加したいだとか。だから、新しく作るものについても将来的にそうなる可能性が高いんですよね。だからこそ、最初から後を見据えて考えたいという思いがあります。受託開発っていうよりは、設計者とタッグの関係を築きたいなと思ってて。

齋藤:なので、システムの仕組みづくりに関しては、設計者とエンジニアで分業するのもありなのかなって。AMDlabでは、秋山さんがRevit&Dynamoセミナーっていうのされていますけど、Grasshopperとかの委託業務もパッケージ化するのは有りかもしれませんね。コンピュテーショナルデザインをまるっとAMDlabにまかせてみませんか?みたいな。

河野:確かにそれは検討の余地ありですね。あれ、いつのまにか建築教育関係なくなっちゃいました。笑 次の話題行きましょうか。


4⃣専門外の人に向けた建築教育

河野:最後に、建築の専門外の方に向けた建築教育についてお伺いします。私には2歳の子供がいまして、習い事としてSTEAM教育に興味を持っています。STEAM教育って皆さんご存じですか?Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念なのですが、これってまさに建築学部で学ぶ領域だと思っていて。衣食住の「住」を、建築教育を通じて専門外の人に開いていく可能性についてお聞きしてみたいです。例えば、建築の授業でパスタブリッジ作ったことある方っていませんか?

齋藤:やりました。パスタをグルーガンで固めるやつですね。

河野:はい。あれって実はSTEAM全般を学べると思っていて、建築学科の実習をアレンジして子供向けの塾にしたら、楽しくSTEAMを学べるんじゃないの?っていう。

秋山:パスタブリッジだと、例えばマスマティクスとかどう建築に紐づけていくんですか?

河野:例えば、パスタブリッジも耐荷重が理論的に計算できるわけです。実際に作って何キロ荷物のせたら壊れたっていうのと、計算で出した耐荷重の数値みて、近いね、とか、違うね、とか考察するだけでも、エンジニアリングとマスマティクスですよね。独創的な見た目のブリッジを追求する子供がいるかもしれなくて、そうしたらアートの力も養えるんじゃないでしょうか?パスタブリッジだけで、ですよ。

新嶋:本当にやるとしたら、何が身につくのか具体的にわかるようにする必要もありますね。例えば、空間把握能力を養いますみたいな。建築の勉強できますって言われるより、空間把握能力となると小さいうちに身につけさせたいなと思うかもしれないし。あくまで学べることがあって、実は建築が背景にあってっていうことですよね。

河野:いいですね。STEAM教育目線で空間や建築を考えると、色々と面白い授業が生まれそうです。なんで階段ここにあると思う?とか、なんで四角形だと壊れやすいと思う?とか。

新嶋:リアルな遊びにコンピューターを掛け合わせるとかも有りですね。例えば、AIとか、コンピューターに作らせたモデルに、子供たちが手で作った創造物が勝てるのか勝負する、みたいな。

河野:確かに、実現するならAMDlabの強みも盛り込みたい。まずはコンピューターで設計して、そのときに、プログラミングをこう使いましょう、とか。あくまでもプログラミングは手段として勉強して、成果物は手で触れるものがいいんだけども。

新嶋:パスタブリッジだったら、触ったり押したりしながら作れるから強く作れたね、とか、コンピューターで作るメリット・デメリットについて話し合ったりするのもよさそう。社会的なテーマになるかもですけど、コンピューターと人間の良い所・悪い所を同時に学んでもらうカリキュラムなんてどうでしょう?

秋山:なんでもできますね。企画書書きますか。

齋藤:AMDhausのコンテンツになるかは怪しいところですけどね。

河野:それはそう。切り分ける可能性高いですね。


AMDlab建築チーム初の座談会は大いに盛り上がり、メンバーはまだまだ話し足りない様子でした。途中どんどん企画会議のようになったり、理想がつまったプロジェクトを自由に想像したり、大きく話が逸れていくこともありましたが、こういった自由な会話の中に、新たなプロジェクトの種が沢山埋まっているようにも感じます。この記事から芽を出すプロジェクトがあれば面白いですね。

また機会があれば、こういった座談会を開催してみたいと思います。
こんなテーマで話してみてほしい!今度はこんなメンバーでの座談会が見たい!等、ありましたらご意見をお寄せください。
また、AMDlabの想いが詰まったAMDhausに今後もご期待ください!読んでいただき、有難うございました。


AMDlabでは一緒に働く仲間を募集しています。少しでも興味を持っていただけましたら、お気軽にお問合せください。





















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