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一期一会。

卒業以来、久しぶりに高校に行った時のこと。

部活の後輩に貸したままだったネクタイをとりに高校へ。
土曜日で、部活の練習が終わったあとだったので誰に会うこともなく高校を後にしたのですが、
駅前まで戻って来たところで、久しぶりにあのお店行ってみようかなー、と思い立ちました。

あのお店。
在学中も何度かお邪魔したコーヒーとワッフルのお店。
豆の焙煎も取り扱っていて、コーヒーを注文すると若いオーナーが挽きたてのお豆でコーヒーを淹れてくれました。
学生の私たちが行くとこっそり値引きしてくれたり。

お兄さん元気かな、なんて思いつつ行ってみると、休業中。土曜日なのに。

久しぶりに訪れてお休みとは残念さが否めませんが、
でもせっかく商店街まで来たし、
まっすぐ帰るのはもったいな、と3軒ほど奥の定食屋さんでクリームソーダをいただくことにしました。

帰り際、定食屋のおばちゃんにそれとなくそのお店のことを聞いてみたのですが、

なんと、
若いオーナーさんは結婚して、他県に移ってしまい今は別の方がやっているんだとか。

そっか…。

常連さんだったわけじゃないけれど、
ささやかながら思い出があって、またいきたかった。

「喫茶はやめてしまったみたいだけれどベテランの方が豆を煎ってらっしゃるからご贔屓にして差し上げて」
おばちゃんの言葉に気持ちとは裏腹、はい。と明るく返してお店を後にしました。

引っ越した先で新しくお店開いたりしてるのか
といったことも聞いてみたけれど、そこまではわからないそう。

受験が終わった2月に訪れて、卒業してからもまた来よう。と自分の中で約束してたのにそれきりにしてしまった。

穏やかな雰囲気のオーナーさん。
いつも香ばしい匂いがした、好きだったお店。
もう、ない。

帰りは電車にゆられながら、特別話したことがあるわけでもないけれど、あのお兄さんが別の街で奥さんと温かく過ごしているといいなんて考えながら帰りました。

思い出の町が少しずつ変わっていくってこういうことなのかな。
当然のようにまた来れると思っていたけれど、考えてみればそんな保証はどこにもないですよね。

一期一会。
どんな出会いもこれが最後かもしれない。
小さな縁も大切にしたいと思う出来事でした。


2023.9.23




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