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ワークライフバランスがもたらすアンバランスースウェーデンのワークライフバランス:ネガティブ編①

この記事では、スウェーデンに来て、私が最もはっとした、これまでの価値観が丸ごとひっくり返った、スウェーデンだから起きるお父さんお母さんの悩みについて書きます。

「ワークライフバランスを取らなければならない」

一言で言うとそういうことなのです。
120日もの病児休暇、入園が保証された保育園、フレキシブルな労働時間。
スウェーデンでは夫婦が共働きで生活するために必要な支援が整っています。
だから共働きをしながら子育てをするのが当たり前です。


“共働きが当たり前”


魅力的に見えたこの言葉、ですがそれは、共働きと子育ての両立をすることが当たり前というプレッシャーを、若いお母さんお父さんたちに与えているのです。
子供が生まれたらお母さんは1年間、お父さんは3-6ヶ月の育休を取る。子供が保育園に入ったらお母さんは少なくとも75%で働いて早めに退社して16:30には子供を迎えに行く。家族みんなで17:00-18:00位には夕ご飯を食べて子供をお風呂に入れて寝かしつける。
次の日は朝早く出勤するから6:00位には起きなければならない。

子育ての理想も高くなっていて、仕事と育児で疲れていても子供に決して怒鳴らないこと、オーガニック食品を使うこと、子供が日焼けをしないよう気をつけること。
共働きで仕事をして、子育てをしっかりする良き父母であること。そんなプレッシャーが存在するのです。
あるお母さんは、弁護士として忙しく働きながら16:00にはとりあえず子供を迎えに行き、子供が寝てからオフィスに戻り仕事をするそう。
16:00には子供を迎えに行くことが“良き親”だから。

専業主婦で5人の子供を育てるお母さんのことを他のお母さんたちは、「だって彼女は専業主婦だから」と、専業主婦であることを少し軽蔑するように話す。

福祉が充実していてワークライフバランスが取れるからこそ、逆に言えばスウェーデンの基準でワークライフバランスをとることが当たり前なのです。
人によって、ワーク多め、プライベート多め、それぞれ生きたい形はあると思います。

日本では圧倒的に男性はワーク多め、女性は家事育児多めであることから、私は”誰もが自分の生きたいように生きられると良いな”と思い、ワークライフバランスが取りやすいスウェーデンを理想と位置づけていました。
しかしスウェーデンでは逆に、一定のワークとライフのバランスが当たり前とされている。
それぞれが”生きたいように生きること”はスウェーデンにおいても難しいのです。
むしろ、
大黒柱と専業主婦という、一昔前のモデルからだんだん共働きモデルに移行している日本の方が、多様な生き方を認められるのかもしれません

ワークライフバランスを取れるが故に起こる悩み。

ワークライフバランスを取らなければならない。

ワークライフバランスを取れることが悩みになるなんて、留学をする前の私は考えてもみませんでした。

今回書いた記事は、一人のスウェーデン女性へのインタビューから書いたものであり、スウェーデンに住む全ての人が感じているわけではありません。ただ実際に、スウェーデンでは30,40代の女性が最も燃え尽き症候群になりやすいというデータも存在することから、同じような悩みを抱える人が一定数いると私は思っています。

この先日本でもさらに共働きが普及していくと思いますが、スウェーデンをこの点においては反面教師にして(!)多様な生き方を受容できる社会にしていきたいと思います。

読んでくださりありがとうございます。良ければ「スキ」を押して頂くとより多くの人に読んでもらえるのでとっても嬉しいです!


2019.8-2020.7まで、スウェーデンに留学しています。留学テーマであるワークライフインテグレーションやジェンダーのこと、留学日記、その他心に浮かんだことをつらつら書いていきます。