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小さい戦争

体調を崩し始めたころ、世界では戦争が始まっていた。

私の体は世界と繋がっている、意識も繋がっている。
わけもわからず悲しいとき、きっとどこかにいる誰かが悲しんでいる。

背中の右側が痛い、それはきっと地球のどこかだ。
世界地図が体にも当てはまる。誰も解明してはいないが。

アイドルや好きな番組を見ているときは痛みや悲しみを忘れる。
だけどそれが消えたとき、眼の前にあるのは瓦礫の山。
爆弾が落ちてこない東京の秋晴れのほうが
スクリーンに映し出した仮想現実みたいに思える。

私はいつ誰がどこで死んだのか、知らない。
でも体や魂は、いつ誰がどんな気持ちで死んだか知っている。
沢山の人の死を受け容れられるほど器は強くない。
新しい命の誕生を祝う隣で、生まれたばかりの命が亡くなる。
この事実にどんな意味も意義も見いだせない。

私が天国に来た人たちを温かく出迎える役目でもできたらいいけど
まだ私は生きている。まだ生きている人たちがたくさんいる。

渋谷のカオスな空気の中でずっと真っすぐ伸びている街路樹がある。
いつ死ぬかわからないけど明日を楽しみに生きている人もいる。
街はいつもこちらを向いて、私を見ている。

今一緒にここに存在しているものの中に
小さく意義や意味を見いだしてみる。

小さい声はますます小さくなっている。
爆音と騒音でほとんどの人は聞くことができない。
聞こうとしないともはや聞こえない。
あなたがそれを聞ける人なら、耳を澄ました方がいい。
あなたが聞かないと消えちゃうよ。

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