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二人芝居 追想曲【カノン】感想

シアターサンモールで行われてた本田礼生さんと赤澤燈さんの舞台 追想曲【カノン】観てきました。

二人しかいない公演なのに三万字の脚本を、毎公演役を入れ替えて行うとのことで信じられないの一言です。
提案してくれたプロデューサーさんと安易(?)に提案に乗ってくれた本田さんに感謝です。

もともとTYPE-Hだけにするつもりが、どうしても観たくてTYPE-Aも観劇。
役を入れ替えての2種類の公演は、同じ脚本で同じ役なのにどうして違うのか
お芝居の深さを感じることでできて贅沢な体験でした。


脚本家ほさかよう 演出家松崎史也の美しすぎる世界観

脚本家と演出家が私自身大好きな人たちとのこともあってかなり好きな世界観でした。
後味がよいというか、最後は「幸せだなぁ」で終わる幸せな組み合わせでした。

普段2.5次元ミュージカル・舞台に携わることも多いお2人なので、非日常を感じられる世界観はもちろんなのですが、最後には日常にも繋がる「当たり前で見過ごされがちな幸せ」を感じさせてくれるところが好きなんですよね。

荒廃した世界で「音楽」を通して人間たちの「感情」をロボット目線で体験する。

個人的な話、私がお芝居を観るとき「普段見ることが出来ない世界を体験をしたい」という期待があって、シアターサンモールの294席が星空でいっぱいになった瞬間「来てよかった」と幸福感に包まれました。


今回のメインである「本田礼生と赤澤燈の2人芝居」というのが大前提にあって、いかに2人が生きた作品にするかというのがあった中で、「俳優2人が演じるのにあえて演劇ではなく、音楽をテーマにした」というのもより2人のお芝居が際立ってよかったです。


2種類のTYPEを観た感想

最初に観たのがTYPE-Hでしが
キャラクター要素が強い役を本田さんが演じるということで安定感とテンポ感で客席の笑いが多かった方のタイプ。一方で赤澤さんがより人間らしい立ち位置でまとめてくれる安心感も感客が期待してたものを見せてくれるなぁという印象。
普段2人のどちらかを推してる方なら、おそらくこっちのタイプの方がオーソドックスに感じる気がします。
コメディ展開と最後の展開との緩急があり、ストーリーがグッと引き立つ安心感のあるおもしろさがありました。

対して、TYPE-Aはその逆でキャラクター性の強い役を赤澤さんが演じ、そのまとめを本田さんがやるといういつものお芝居の時とは違うバランス感が新鮮。私は本田礼生のオタクとして思うのはTYPE-Aがより好きだと感じました。
同じ役をタイプによって入れ替える公演なので、それぞれの解釈の仕方とかが表れて、その解釈が好きだなと感じたのがTYPE-Aでした。

この世界は【ロボットに侵略された外側の世界と内側】という大前提がありますが、そこで生きる人間の想いは脚本が同じでもそれぞれ変わってきます。
例えば、荒廃した世界でレストランを続けるマスターと彼女を待つお客という2人のシーンでの話。
マスターはどんな状態でもレストランを続けるという想いのある青年というのが変わらないんですが、お客の方がどちらが演じるかによって変わってくるのがおもしろい。
忘れてしまった彼女との記憶をどう考えているのか。赤澤さんは忘れてしまったことに切なさを感じていて、本田さんは彼女への愛しさだけが残ってるみたいな感じを受けました。
本田さんのオタクを何年もしてますが、こういう役をあまりやらないイメージなのでこういう甘さが残る言い回しを今まで感じることなかったので余計に印象に残ってるのかもしれません。
だけどこういう「解釈の違い」「表現の違い」をタイプが違うごとにところどころ感じたので両タイプ観れたことはかなり満足でした。

最後に

この企画自体が「本田礼生と赤澤燈の2人が行うこと」がメインなこともあり、2人のお芝居をこんな濃密な形で観ることができて貴重な体験ができました。
両方とも人見知りの中で、他では見られない一面を引き出し合う不思議な関係性の2人が作り出す演劇をこれからも観たいなと心の底から思います。
本田さん赤澤さん、関係者の皆さんがどうか最後まで駆け抜けられますように。







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