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【詩】記憶

日々の記憶は溶けていく
深い 深い 水底に
一分 一秒と 経つにつれ
春風にさらわれた花びらのように
そっと ゆっくり 確かなテンポで

日々の記憶は濾されていく
まるで 不純物や汚濁物質をなくしていくように
それならば
辛さや涙も恥も全て消えてしまえ
そう願って 望んで 祈ってやまないけど
記憶の引き出しの中ちゃっかり居座っているのは 
大抵 負の感情だったり 後悔だったりする

日々の記憶は眠っていく
幾層にも重なるミルフィーユのように
失った小さくて儚い欠片の表面を
そっと いつくしむように 撫でていた
寂寥と一筋の光を纏いながら

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