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西日本豪雨に際して(寄付について考える)

東日本大震災、熊本地震、九州豪雨に続いて今年は西日本豪雨災害です。何か支援したいと考える人は多いと思います。

でも、どういう形で支援をすれば災害にあった方々の助けになるのかってのは案外難しいです。具体的には「何を」「どこに」支援するかですね。

「何を」はまずお金、ついで品物、あるいは労働です。難しいのは「どこに」です。

以下、具体的に僕が今までどうやって支援してきたか書いてみます。

まず、2005年のハリケーンカトリナ。アメリカ在住の日本人被災者の支援をしたいっていう人が多く、その窓口になりました。この時は集まった現金800万円あまりを小切手で160世帯に配りました。

この時は、誰が支援を必要としているかの情報集めが難しかったです。被災者は避難していたので、避難先の(と思われる)アジア系食料品店や領事館にビラを置き、支援の必要な人たちの情報を集めました。

現金はいつでも心強いです。現金のいいところは被災者が「必要なものを何にでも替えられる」ことです。

2011年の東日本大震災は別の意味で難しかったです。T-シャツを全部で1500枚ほど作って売り、300万円ほどになりました。最初は「国境のない医師団」に、ついで「セーブ・ザ・チルドレン」という子ども支援団体に現金を送りました。感謝状はもらえるものの、被災者を直接支援しているという実感がない。

地震後2週間して、アマゾンジャパンが被災者が「欲しい物リスト」に匿名で欲しいものを掲載する機能を作り、被災者が必要としているものが2、3日中に届けられるようになりました。ただし、物流が遮断されてしまったので、配送が間に合わないことがあり、冷蔵庫や洗濯機など、ライフラインに必要なものが届かない、ということもありました。このフォローは結構大変でした。

アマゾンは被災者による匿名の「欲しい物リスト」を継続して掲載しており、熊本地震の時も活用しました。ただし、この時は「偽被災者」(もしくは軽度の被災者、例えば学校などが備品を希望したケース)が多発したので、問題になりました。

僕が最後まで支援したのは「車中泊」のグループでした。支援希望物資のリストを見ると被災者の置かれた状況がよくわかります。例えばカップ麺、虫除けスプレー、卓上コンロなどの低価格商品は、本当に必要なもので、偽被災者が要求するものとは思えません。

去年の北九州豪雨の時はアマゾンの「欲しい物リスト」に希望者があまり出てこなかったので、炊き出しをしている団体を探し出して、ここに現金や希望する品物(プラスティックの運搬ケース25個など)を送りました。

で、今回の西日本豪雨です。今回は水が引くのが比較的早かったので、広域災害とはいえ、物流の回復は早いようです。アマゾンの「アカウント&リスト」から「ほしい物リストを見つける」をクリックし、倉敷、広島などのキーワードを入れると被災者、あるいは支援団体のリストが見つかります。

今の時点では「JDSO災害支援ネットワーク」という団体がリストを公開しています。ここで注意すべきは配達予定日です。すぐに必要なもの、例えばスコップなどはすぐに配達されることを確認した方がいいです。

被災地に洋服などの品物を送るのは一般的に避けた方がいいようです。送られたものを仕分けするのに人手が必要になり、さらにマスコミなどで流れた物資が1ヶ所に大量に殺到するので。東日本大震災でも避難所の裏口などに仕分けできない、もしくは分配できない品物が山積み、ということがありました。

現金は万能ですが、赤十字などの団体に寄付してしまうと使い道がわかりません。東日本大震災の時も、赤十字の職員の交通費やホテル代に使われていたようで、いまいち被災者を支援しているという実感は湧かないようです。

地震や水害などでお金を集めるのは思ったより簡単です。問題はそのお金をどうやって使うか(使ってもらうか)、です。

普段はアメリカ在住なので、ボランティアとして「労働」を提供する場合のプラスとマイナスについては残念ながら経験がありません。一般常識として、被災者のライフライン(水や宿泊場所など)を奪う行動は避ける、過剰な期待をしないで現地に赴く(例えば被災者と人的な交流ができるとは限らない)というあたりでしょうか。

最後に書いておきたいのは、被災者の困難は「長期にわたる」ということです。東日本大震災の場合も、地震の後1ヶ月半くらいは、政府や自治体の援助や炊き出しなどのおかげで食料品の要請はありませんでしたが、GW後くらいからカップ麺などの食料品がリストに乗るようになりました。

また、7月に現地に行った時は避難所の体育館で必要となった扇風機、網戸、ハエ取り紙などを支援しました。地震の直後はコタツテーブルの人気が高かったので、季節が変わるとともに支援の品物も変わることを実感しました。

ですので、今回の西日本豪雨も息の長い支援ができる体制を作るのが重要ですね。

人とは違う視点からの景色を提供できたら、って思ってます。