逃げることは負けじゃない
社会人1年目の私へ。よく決断したね。よく逃げたね。
いま思えばあの時の不調は、崩れ落ちる一歩手前だったと思う。耐えなきゃ、耐えなきゃって頑張って、毎日表しようもない虚無感に襲われて、日曜の夜には必ず「会社に行きたくない」と大泣きして。
周りの子は大丈夫そうなのに、なんで私だけって思った。
月曜と火曜は地獄、水曜はやっと折り返し、木曜は週の終わりが見えてきてちょっとだけうれしい、金曜は午前中がんばればもうおしまい、午後からは消化試合。
やりたいことってなんだっけ。
書きたいのに書く機会さえもらえない。他の場所で書きたいのに“副業禁止”の4文字が邪魔をする。やりたいことをコソコソやる生活ってなんだ。浪費する昼間、寝る時間を惜しんでの執筆。夢見ていた自分の名前が載った記事なんて書けないのに。体も心も限界だった。
やりたいことができないもどかしさと、人間関係で起こったささくれを抱えて、ただ日常をこなすだけ。
でもね、社会人1年目のわたしよ、聞いておくれ。
2年経ったいま、好きな仕事をしながら好きなように暮らせてるよ。念願のライターとしてお仕事をもらえてるよ。自分の名前が載った記事が公開されているよ。好きな人たちとお酒片手に笑いあえてるよ。
社会人1年目のわたしよ、はっきり言ってあなたはいま、24年間の人生のどん底にいる。
まだまだ人生これからだろうという声も聞こえる。いかにもだ。
たしかに、これから先、もっとしんどいことが待ち構えているかもしれないけれど、これを書いている24歳のわたしにとっては、底辺はなんといっても22歳の1年だったのだ。
当時は「毎日が楽しくない、会社に行きたくない、通勤電車に乗りたくない」くらいだったけど、振り返ってみるとギリギリのところでよく耐えたと思う。糸が切れる前によく逃げたね。
あのときのあなたの決断は、間違ってなかったよ。それを、これから何十年と続くわたしの人生で、証明してみせるから。
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