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最近読んで面白かった本を軽くまとめる:6/1~/15

こんにちは。あんどーなつです。
私事ですが「銀魂で実践!本を要約する3つのコツ」が第2回cakesコンテストの一次選考に残りました!
読んでくださった皆様、ありがとうございます!!!少しでもお役に立てれば幸いです。

読んでないけど読みたいという方はこちらから↓


変えることが難しいことを変える。 岩渕健輔


ラグビー日本代表のゼネラルマネージャー(以下GM)を務めた岩渕健輔さんが、日本のラグビーの未来をどのように見据えて、何をどのように変えたのかを赤裸々につづった一冊です。

私はスポーツの運営に詳しくなかったので、この本を読んでGMの視座の高さにとても驚きました。GMの仕事は『招集するメンバーや選手に与える練習メニューを決めたりする以前の段階、そもそも「日本代表がいかなるラグビーを目指し」、「どういう方向性で強化を図っていくのか」という枠組みを作る仕事だった』と最初に説明されています。

具体的には、行うべき仕事は以下の5つだったそうです。

1:日本ラグビー全体を強化していくための方向性の提示
2:各代表チームにおけるコーチングスタッフの編成
3:強化プランやスケジューリングの立案
4:将来を見据えた強化の枠組み作り
5:予算の編成

それぞれで苦労話が語られていますが、私が最も面白いなと思ったのは「3:強化プランやスケジューリングの立案」で語られていたエピソードです。

『「存在しないはずの試合枠」を作り出せ』と称されたエピソードは、動かし難い現実をなんとしても打破してみせるというGMとしての意地をひしひしと感じました。

ラグビーにはティアと呼ばれる格付けがあり、ティア1が最高位、ティア2が中間位(日本はティア2)、ティア3が最下位となっているそうです。ティアの壁は厚く、ティアを超えた試合は通常ほとんど行われなかったそうです。そのため、ティア2に属する日本は「ティア1との試合枠は喉から手がでるほど欲しい黄金のカードだ」ったそうです。

正当な方法で掛け合っても試合はできない、そこでどうするのか?
さんざん考え抜いた末に思いついたある方法で、岩渕さんはGMに就任して2年目の2013年にティア1のウェールズと試合を実現させました。その方法は以下のようなものだったそうです。

テストマッチが行われるウインドウ・マンスは、6月ならば1週目から3週目まで、11月は2週目から4週目と定められている。正規の枠の中で試合を組むのが難しいならば、その前後に各チームが移動する際に、日本に立ち寄ってもらえばいいと考えたのである。
かくして実現したのが2013年秋のニュージーランド戦と、2014年のイタリア戦だった。まずニュージーランドの場合は、先方の協会と何度も交渉を重ねてフランス、イングランド、アイルランドと試合を行う前に、日本に立ち寄ってもらえることになった。イタリアに関しても、必死で説得を試みた結果、フィジーやサモアと試合を終えた後に、日本を経由して帰国してもらう手筈を整えた。

こういうやり方をすれば、正規の試合枠に抵触しないし、先方のチームにとってもコンディション調整ついでに、収入を得られるというプラスが生まれることになる。

正規枠が獲れないなら、枠を増やしちまえ!という乱暴ともいえる手段をとったのは、ラグビー界で日本が初だったそうです。周囲からのやっかみなど反響が大きかったそうですが、なんとしてもティア1と日本代表の試合を実現させてやりたい!という意気込みと執念を感じました。

この本を通して、GMに求められる能力は2つあると私は考えました。
1つは抽象的な課題を解決できる課題にブレイクダウンする能力。
もう1つは手段を選ばずにネゴシエーションできる能力。
この2つです。先ほど紹介したエピソードはこの2つの能力が強く求められた例なのではないかと思います。

こう考えてみると、GMの経験談は企画やコンサルなどの仕事に活かせるのではないかと思います。スポーツ好きなサラリーマン・サラリーウーマンの方は一度読んでみると面白いのではないでしょうか?

興味を持った方はこちら↓


オドロキのブランドづくり 﨑本将光

チーズケーキで有名なPABLOの創業者がPABLOの創業までの道のりと、実際に行っているマーケティングや商品開発の裏側などを語った1冊です。

表紙がカラフルで目をひくデザインであることからも伺えるように、創業者の方はなかなかユニークな考えの持ち主でした。自分のことを自分で「イケメン」と称していたのには思わず拍手を送りたくなってしまいました笑

そんなイケメン創業者が行った様々な試みのなかで最も面白いなと思ったのは、PABLOの1号店を開店するにあたってのチラシ&ポスター作戦です。

何を主にやったのかというと、オープンまでの2週間、まだ工事中の壁にポスターを貼り、その前でチラシを配り続けたのだ。え、チラシとポスター?そんなやり方でいいの?と拍子抜けされるかもしれない。だが、それが逆にすごく効果を生むのだ。
地下街は毎日、通勤や通学で同じ場所を通る人が多い。いつもなら、毎日代わり映えのしない地下街の光景を気にも留めずに流れていくだけ。だからこそ、そこに「いつものと違う何か」が現れるだけで気になる。
チラシでチーズタルトの専門店がもうすぐオープンすることを匂わせつつ、工事中の壁には「チーズケーキの革命、ここから」「恋とチーズケーキはあつあつがいい」といった謎めいた1文だけのコピーを書いたポスターも張り出した。
3~4日ごとにこのポスターにある「1文コピー」の内容が変わっていくのである。当然、地下街をいつも通る人は「何がオープンするんだろう?」と気になっていく。最終的には焼きたてチーズケタルトのおいしそうなビジュアルのポスターに貼り変わる。もうその時点で地下街を通る多くの人の頭の中に『PABLO』の存在がインプットされるというわけだ。まだオープンしていないのにも関わらず。

このチラシ&ポスター作戦で、1号店の開店時には400人以上が行列していたそうです。開店前のポスターとチラシの内容が変わるのが、個人的にはとてもユニークだと思いました。

他にどんなポスターがあったのか、調べてみると↓のようなポスターが見つかりました。

このポスターからだけでは、何の店なのかまったく分かりませんが、デザイン性が高く「なんかお洒落」と目を止めたくなる気持ちはよく分かります。

デザインの良し悪しは分かりませんが、「なんかお洒落」「なんか気になる」と人々の興味を喚起できたところをみるとイケメン創業者の感性は正しかったようです。このチラシ&ポスター作戦は、企画からデザインまですべて自社で行ったそうです。広告代理店を通さないからこそユニークな広告になったのかもしれません。

うって変わってこんなド直球なポスターも作っているので、PABLOは面白いですね。


甘党の方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。読み終えると絶対チーズケーキが食べたくなるはずです。

気になった方は↓


ハーバードからの贈り物 デイジー・ウェイドマン

雨で肌寒い日が増えてくると、なぜか自己啓発系の本が読みたくなります。梅雨入りした6月も例外ではなく、久しぶりにひっぱりだして読みました。

この本は、ハーバード・ビジネススクールの教授たちが学期最後の授業で生徒にむけて語った花向けのスピーチをまとめたものです。全部で15編のスピーチが収められています。

私が好きなのは、トーマス・K・マックロウ氏の「黒か白か」というエッセイです。自分を構成する要素に焦点をあてて、自分を捉えるという考え方が気に入っています。

ビジネスリーダーとなる君たちの考え方は、ある方針を生み出し、その方針が結果を生み出す。だから、自分の考えたを正確に理解すること、言いかえれば、自分がなぜ今のように思考するようになったのかを把握することが極めて重要である。
自分の考え方はどこからくるのか、それが自分の世界観にどう影響しているのか、その考え方に従うことでどんな間違いを犯す可能性があるのかを、よくよく吟味することだ。そのためには、自分の過去を振り返り、「黒か白か」を分けようとする信念や考え方がどうして身についたのかを省みる必要がある。
人間は、時代や文化的・社会的背景、両親、そして偏見といったさまざまな要素の産物だ。今後生きていくうえで最善の判断を下すためには、そうした過去の要素ひとつひとつがどのように自分の考え方を形づくったかを知らなければならない。キャリアを追求していくためには、自分の考え方がどのように形成されたかを理解することが必須なのである。

スピーチの骨子だけ抜き出したので堅苦しく思われるかもしれませんが、本当は自分の身の上話があっり柔らかい印象のエッセイです。

雨で職場に行きたくない、雨に濡れて研究室から帰ってきて疲れた、というときにぜひ読んでみてください。あなたの背中をやさしく押してくれることばがきっと見つかるはずです。

気になったら↓

~Fin~


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