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文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究の結果をまとめて分析みた。

教員・子ども・保護者で、不登校の要因、認識にずれがあることが以前から指摘されていましたが、それに関しての調査結果が出ていたので、この中の言葉を拾ってまとめてみました。


要因と不登校の関連性

■いじめと不登校

「いじめ被害」は、不登校のリスクを高めるものであるが、教師には見えにくい可能性がある

■成績の低下と不登校

教師回答では不登校との関連がみられたが、児童生徒回答では、関連がみられていない。
その理由として、教師は児童生徒の成績について把握しやすい可能性がある他、児童生徒の回答では、不登校でない児童生徒にも「成績が下がった」という回答が多かったことが考えられる。

■“みんな一緒“の不適応と不登校

友達からの孤立、授業が分からない、宿題、制服・給食・行事といった、学校において“みんな一緒”が求められるような決まりに対する不適応は、不登校のリスクを高めている可能性がある

■発達障がいと不登校

教師回答によると、発達特性、障がい、家庭の困難さなどが不登校と関連する結果に。
しかし、本調査は「発達障がいをもつ児童生徒であっても、多くの児童生徒は不登校ではない」という事実を示した。

■教師の行動、学校風土と不登校

教師の態度や指導方法が不登校の要因になっている可能性がある。

■授業、宿題と不登校

不登校でない児童生徒についても学習に関わる問題は深刻。「授業が分からない」は 35.4%と比較的高い割合であり、「成績が下がった」に至っては 41.6%で、R4 不登校の児童生徒よりも多い結果となっている。
ただし、「宿題ができない」は 24.5%とR4 不登校の児童生徒に比べて少なく、宿題の問題は不登校と強く関連する可能性がある。
不登校予防や支援の観点からは、宿題の在り方について検討を行うことが必要である。

■体調、メンタルヘルス、生活リズムと不登校

児童生徒の 7 割近く、もしくは 7 割以上に見られ、不登校でない児童生徒と比較して高い回答割合であった。これらは不登校の関連要因である可能性が高く、支援や対策が重要であると同時に、不登校の早期徴候である可能性もあり、予防的な支援にとっても重要

実態・状況について

■無気力・不安

象徴的なきっかけ要因がない場合に「無気力・不安」を回答されやすい可能性が示唆 された。

■相談・指導等を受けていない

指導等を受けていないと報告された児童生徒は、相談を受けたと報告された児童生徒と比較して、「学業不振」や「宿題」の問題が多くみられた。
相談・指導等を受けていない児童生徒では、「発達障害の診断・疑い」「感覚の過敏さ」 等の背景要因をもつ割合が少なく、このような要因をもつことで相談・指導等につながりやすい (あるいは既につながっていた)可能性がある。
しかし、「要対協・要保護」、「ひとり親・共働 き」といった家庭的な背景要因をもつ場合に相談・指導が届きにくい可能 性がある。

■居場所に所属していない子ども

教育支援センター(適応指導教室)、フリースクール、学習塾などに行っている児童生徒はあまり多くはない(いずれも 8 割以上が行っていないと回答)
すべての場所に行っていないと回答した者(児童生徒回答で 16.3%、保護者回答で 14.3%)
家庭での生活状況や学習状況、心身の健康状態の把握を含め、支援の在り方を検討する必要があるだろう。

■学習支援が実施されてない

保護者回答では、6~7割が学校からの学習支援は実施されていないと回答していることから、保護者にとって、学校の教材が活用できることは、必ずしも学校からの学習支援を受けていると評価できるものではなく、より丁寧な学習支援が望まれている可能性がある。
学習支援、特にオンラインを活用した学習支援については、「実施されず残念」との報告が多い(39.8%)。教師回答でも、オンラインを活用した学習支援は、小中学校で 30.6%、高校42%で 34.6%にとどまっており、未だニーズに十分に対応されていない可能性がある

■学校を休んでいるとき、家族は昼間、家にいましたか

児童生徒は 43.5%がいつもいた、25.7%があまりいなかった、30.9%がほとんどいなかったと回答した。
保護者は、48.6%がはい、32.4%がときどき、19.0%がいいえと回答した。

■抑うつ・不安症状

R4不登校児童生徒で、令和5年度になってからも「ほとんど行っていない」「全く行っていない」に該当する児童生徒は、週1~3日くらい登校している児童生徒に比べて、抑うつ・不安症状が全くない、または軽度である割合がやや多い点は注目すべきである。
一方で、「全く行っていない」児童生徒の約2割が抑うつ・不安症状が重度である点も注目すべきである。学校に行かないことがメンタルヘルスを改善するとは言い難く、医療的アプローチが必要な可能性を含め検討する必要がある。

では、今後どうしていくのか・・・

■発達特性、障がい、家庭の困難さといった静的要因を リスクとしてもつ場合

学校や教師が積極的に介入することによって変化させることは容易ではない。しかし、合理的 配慮等によって問題を未然に防ぐことは不登校予防につながるため、アセスメントによって把握しておくことが重要である。 不登校予防のためのリスクアセスメントに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の制度が活用さ れていくことが期待される。

■学校風土改善の取り組み

不登校予防の一次支援策として重要であることは繰り返し報告されている

■教師と家庭の連携・情報共有

教師と保護者・児童生徒の回答にずれが生じているものが少なくなかった。このことは、不登校の防止・改善のた めに教師と家庭の連携をより強め、効果的な情報の共有を行うことが有益であることを示唆しているように思われる。
特に「ゲーム・スマホ依存傾向」、「体調不良」、「進路の問題」、「家庭環境」などは、教師よりも家庭、保護者の方が認識 しやすい可能性が高い。そのため、不登校のリスクについて家庭にも周知をして、兆候が見られた段階で学校と家庭が連携して対応し、不登校を未然に防ぐようなシステムが必要であろう。

■ニーズを把握し学びの提供

児童生徒の学びに関するニーズを正確にアセスメントし、個々の児童生徒の状況にあった学びの提供の実 現を図ることが重要である。

以上が、分析結果を拾ってまとめたものです。

個人的な感想

学校はアセスメントが正しいか保護者に確認が必要

不登校要因の「無気力・不安」の項目がずば抜けて多い問題は今に始まったことではなく、親としては「無気力・不安」だから不登校になったとは思ってない場合が多いです。

ここをクリアにすることで救われる子どもは多いだろうと思っています。
クリアにすることで、教員と共通認識が持てるということ。

現状では共通認識が持ててない場合が多いということなんです。

学校はチーム学校で不登校対応するらしいですけど、私はそんなの今まで見たことないです。
せめて学校の見立て、アセスメントが合っているか、保護者に確認するなどして一緒に考えるという作業が必用だと思います。

忙しくて時間がないのなら、例えば3日以上休んだ場合は不登校の要因と思われるものについてのアンケートをとる仕組みにするとか、学期ごとにアンケートをとる仕組みにするとか、学校と親子の認識のズレがないようにしないと、お互いにとってすれ違っていくばかりのような気がしています。

それをもとに保護者にヒアリングをする。
これまでは、ただただ保護者対応をしている場合があっただろうと想像されます。
保護者的には「たくさん話したのにあんまり伝わってない感じがする」
先生的には「長時間精一杯聞いているのに、どうしていいかわからない」
ということになっているケースも少なくはないと思います。

8割の子が居場所に属していないという結果は、このようなすれ違いの結果のような気がしています。

学校の先生ができる不登校対応は限られていますので、先生の精神的負担とならないようにするために、もっと工夫できることがあるはず。
そういうことも親の会に情報があるので、先生自身が親の会の門を叩くというのも必要なのかもしれません。

ということで、
“不登校要因の「無気力・不安」の項目が多くなる問題”
が明らかになったのは良かったんですが、それ以外の部分で違和感があったところについて書いていきます。

ひとつ目の違和感

概ね、親の会で集まっている情報(親の声)などと一致していると思うので、親たちの肌感覚は間違ってなかったのかもしれないと思う一方・・・
ふたつ違和感を感じる箇所があります。

「ゲーム・スマホ依存傾向」、「体調不良」、「進路の問題」、「家庭環境」などは、教師よりも家庭、保護者の方が認識 しやすい可能性が高い。そのため、不登校のリスクについて家庭にも周知をして、兆候が見られた段階で学校と家庭が連携して対応し、不登校を未然に防ぐようなシステムが必要。

この部分について、認識の差を感じました。
これは多くの親が以前から感じていたことで、今に始まったことではなく、
ここの溝が埋められないことが不登校親子の支援を繋がりにくくし、抑うつ・不安症状に繋がる部分になるかもしれないと思うからです。

なぜかというと、
「ゲーム・スマホ依存傾向」、「体調不良」、「進路の問題」、「家庭環境」に問題があるから不登校になった
と言われているような気持になってしまうから。

逆なんです。
安心安全が失われ、不登校になるほど不安にさせることがあったから、体に症状が出て、ゲーム・スマホで深く考えないで済むようにしている、ということが多々あるのではないでしょうか?

だから「これらを改善しましょう」と学校や親から言われたらモヤモヤするんじゃなかろうかと。
「ゲーム・スマホ依存傾向」、「体調不良」、「進路の問題」、「家庭環境」の問題以前の問題がある場合があるということに、大人たちは目を向ける必要があるんです。

それにも関わらず「改善」を促す働きかけをするから、重度の抑うつ・不安症状に繋がる場合があるのではないでしょうかと思う訳です。

ふたつ目の違和感

「全く行っていない」児童生徒の約2割が抑うつ・不安症状が重度である点も注目すべきである。学校に行かないことがメンタルヘルスを改善するとは言い難く、医療的アプローチが必要な可能性

これは、ひとつ目の違和感から繋がってくることでもあるとおもいます。
このことは斎藤環先生も度々指摘されています。

原因の解決をしないで一生懸命本人のカウンセリングをしても意味がない。
外に原因があって、原因解決が最優先。その当たり前が実行されない。

原因解決・・・
原因って何?
これは、この調査結果に表れているじゃないですか。
教員の認識と子どもの認識で差が出ているものがそういうこと、という場合も多いような気がしています。(具体的には人それぞれですけど)

それは先生の間違いを指摘したい訳でも、責めたい訳でもなく、子どもを守るためにそういう認識をシェアする必要性があるんです。

そのためには・・・

子どもの命を守るために対話が必要

学校、教育委員会、SC、SSWの皆さん的に、不登校の親子に対してアドバイスしやすい点は「ゲーム・スマホ依存傾向」、「体調不良」、「進路の問題」、「家庭環境」の部分になってくる場合が多いでしょうが、不登校親子にとっては、学校側の見ている角度が違いすぎることを痛感させられる場面がこれまであった方は少なくないと思われます。

それについて、これまで多くの親たちが言語化を試みているけれど、その状況になった人でないと分からないのかな?と、多くの人が難しさ、もどかしさを感じてきたのかもしれません。

なので今回の結果を見て思ったのは、これらについて対話を重ねられたらということです。(今に始まったことじゃないけど)

学校、教育委員会、SC、SSWの皆さんと、親の会との対話の場が必要です。
これについても働きかけを続けてきましたが、なぜか分かりませんが実現が難しいようです。

そのハードルを越えた先に先生の働きやすさがあるんじゃないかな・・・
と思ったりもするのですが、どうしても「責められてしまうかもしれない」という怖さがあるのでしょうか。理由は分かりませんが。

校内フリースクール、教育支援センター、学びの多様化学校、フリースクールの補助金など、子どもの居場所についての動きはさかんになってきましたが、それらを作る以前にこういうことについて、大人たちが立場を超えて、もっともっと掘り下げなくてはならないと思います。

子どもたちの命を守るために。

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