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初めて煙草を吸った日 [前編]

起業家という道を経て、今は二作目の出版を目指している橋本なずなです。

先日、父方の祖父が亡くなった。父との縁を切る旨のnoteを書いた日に。

享年87歳。
介護施設に入所していると訊いていたから、心の準備はできていた。
祖父と最後に会ったのは18歳の時、祖母のお葬式の日だった。

祖父の死はすぐに受け入れられた。
それほど親しい仲ではなかったし、やはり、母の死を越えるほどの悲しみは感じられなかったからだ。

今年の1月に母を亡くしたばかりだと言うのに、2ヵ月足らずで祖父をも亡くした。

もう、笑うしかなった。逆に面白くなってきてしまった。
次は何が起こるの?って。次は誰が死んじゃうの?ってさ。


太郎くんがご飯に誘ってくれたのは、その少し前のことだった。

太郎くんは以前にアルバイトをしていた先の同じスタッフで、地方から出てきた3つ年下の大学生。
ある時インスタでDMをもらって、ご飯に行こうという運びになった。

誘いを貰った時には、どうせ下心だろう、と思っていた。
太郎くんとはアルバイト先でも会話する機会は少なく、一度ゆっくり話してみるのも悪くないなと思った。

一軒目、太郎くんが予約をしてくれたオシャレな居酒屋さんで乾杯をした。

「 なんでご飯誘ってくれたの? 」
『 橋本さん可愛いじゃないっすか。だから色々話したいなーと思って 』
「 おお、めっちゃ素直やね (笑) 」

『 ここのお店どうっすか?なんか、大衆的な居酒屋とか連れて行くのも年下感丸出しやなと思って、色々調べたんすよ 』
「 えー、嬉しい。色々考えてくれたんやね 」

『 前にバイトの人たちと飲みに行ったんすけど、橋本さん可愛いよなって話になって。そしたら○○さんが “橋本さんのインスタこれやで~” って教えてくれて。んで、DMしたっす 』
「 へぇ!そうやったんや 」

「 ん、なんか、めっちゃ飲むペース早くない? 」
『 緊張してるんで。早く酔いが回って欲しいなと思って飲んでます 』


———( やっべー、これ私の好きなタイプの人間だぁ…! )

私は心の中で静かに噛み締める。
何でもストレートに言葉に出してしまう感じ、私と同族だ。
私に合わせてお店選びをしてくれたことも、私が居ない場所で私の話をしてくれていたことも嬉しく思った。

太郎くんは私のnoteを “読んで来なかった” と言い、『 僕だけが一方的に色々知ってたら、なんかキモくないですか 』と笑った。
けれど、母が亡くなったことだけは知ってくれていたようで、『 大変でしたね 』と言葉をくれた。

素直で明るくて面白い。そして押し付けのない優しさ。
私たちはお酒と食事を楽しみながら、好きな配信者やお仕事の話、男女区別についてなど会話が弾んだ。


緊張もほぐれた頃、太郎くんは言った。

『 僕も、中二の時に親父亡くしてるんですよ。過労死っていうか…  まぁ、はっきり言うと自殺なんすけどね 』
『 だから、なんか、他の人よりは分かることも多いんじゃないかって思ってます 』

もちろん、知らなかった。
“中二で親父が自殺” というパワーワードに言葉が詰まった。
目の前に居る太郎くんはとっても陽気に見えるのに、彼が背負っていたものは遥かに大きかった。

13歳やそこらの少年が、どのようにして死と向き合って来たのか。
知りたくて、私は太郎くんの言葉に耳を傾けた。

『 時間が解決するって言うっすけど、僕としては親父は長い単身赴任に出ているような感覚で… 』

太郎くんは熱弁するように、声を張って語ってくれた。

私が太郎くんに心を開くのに、長い時間は掛からなかった。

後編につづく

● 併せて見たい ●

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