見出し画像

藤井風「特にない」を聴いて、加島祥造「求めない」を読む


藤井風「特にない」を初めて聴いた時、すぐに思い出したのが、加島祥造「求めない」だった。

求めない
ということは
いまのままでじゅうぶん
と知ることなんだ
じゅうぶんと感じないから求める?
ちがう、
じゅうぶんと知らないから求めるんだ
体はじゅうぶんと感じているけれど
頭がしらんぷりしているのだよ
                     加島祥造 「求めない」

藤井風「特にない」より引用

特にない
望みなどない
わたし期待せずに歩く
特にない
願いなどない
わたし身を任してる
見返り
求めるから
いつも傷付いて終わる
ご褒美
欲しがるから
いつも腹が減ってる    

藤井風「特にない」



手元にあるこの本は2007年の初版。

求めない123835_1

恩師に「すぐに読めるだろうけど。忙しいだろうから、まあ、サラッと読んでみて」といただいたものだ。かれこれ、10年以上前になるだろうか。


「足るを知ることは富なり」


男性中心社会の欲望過多に深い警告を発した老子や孔子、ブッダやキリストの思想をベースにしたこの詩集。

期待すれば叶わなかった時に落胆し、適量を知らなければ過度に求め続けることになる。「求める」ことが、いかに消耗する事かが、わかりやすい言葉で繰り返し書いてある。

といっても、人間は求め続ける生き物。求めること自体は人間の本能で悪くはないが、何事も求めすぎる自分に警鐘を鳴らすという意味で、時々目を通している。


あふれる情報に追い立てられていたわたしに、恩師は遠回しに立ち止まる事の必要性を説いたのだろうか。今となっては知る術もない。


「求めない」こちらは文庫版


藤井風さんのこと、いろいろ書いてます




#読書感想文 #求めない #加島祥造 #特にない #藤井風 #老子 #孔子 #仏教 #キリスト教 #足るを知る #記者 #ライター #日記  


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?