あねといもうと

北海道生まれ、5才ちがい。小学校から大学まで、学校一緒。東京の女子大卒業。いもうとが学…

あねといもうと

北海道生まれ、5才ちがい。小学校から大学まで、学校一緒。東京の女子大卒業。いもうとが学生だった3年半、東京で2人暮らしをした時期がある。あねは元教員。東京住まい。いもうとは元書店員、猫飼い、札幌住まい。2人とも一度立ち止まって考えてます。

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自己紹介と注釈

こんにちは。あねといもうとです。5歳としの違う姉妹です。私たちはこのnoteを、あねといもうとの「往復書簡」として使っています。短いメールでなく、文章としてのやりとりをしてみたいと思い、あねが提案して始めました。 私たちは雪国の生まれです。こたつの中で本を読み、うたた寝をするのが大好きでした。古い家の8畳間が私たちの部屋で、いもうとはあねの落書きする手元を眺め、夜は二段ベッドの上下に眠って過ごしました。いつしか感じる年齢差は縮まり、そういえば年、ちがうもんね、くらいの感覚に

    • 対話する(あね)

      いもうとへ 2月も間が空いてしまいました、往復書簡の上では。けれど今、あなたのことをとても身近に感じています。 この間に私たちは2度会えるチャンスを逃しましたね。会えなかったのに、気持ちはぐんと近づいた気がします。おそらく、子ども時代よりも、大人になってからいっしょに暮らしていたあの頃よりも、近づいたのではないでしょうか。 何かあなたに変化を感じて、つんつんとつついてみたら、きゅっと締まっていた結び目が緩んだ感覚がありました。ゆるっとした結び目は、ゆっくりゆっくり解けてい

      • 『誕生』(いもうと)

        あねへ こんにちは。いもうとです。 札幌は平年より遅いらしいみぞれ雪を確認した後、秋の名残のような日が続いています。ぽかぽかとあたたかい日の光、時間がわからなくなるほどの厚い雲、雨を含んで靴の裏でじゅんと鳴る落葉、ひいやりと冷たい夜。 そして、また冬が来るのでしょう。目に映るもの全てましろく、会いたいものが遠ざかるあの雪の中を、ただ次の一歩のことだけ考えることでやっと前に進める吹雪の道を、また歩くのだと思います。(やだなあ) 四男、お誕生おめでとう。ようこそ。生まれてきて

        • 月明かりの夜中に(あね)

          いもうとへ こんにちは。8月の終わりにいただいた手紙に、10月の初旬ももう過ぎた頃お返事をしています。 あなたはどう過ごしていましたか。あなたの好むように、家の中での平穏を愛し、ゆるりゆるりと暮らしていたのかな。 私は、子どもを産みました。8月1日、盛夏の候に。4人目の男の子は大きくて元気そのもので、でも高齢の私はヘトヘトのよれよれ。私を構成している細胞のひとつひとつが、よくがんばったものだと思います。今も母乳はしっかりと出て、この大きな子はさらにどんどん大きくなっている

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        自己紹介と注釈

          一日の終わり(いもうと)

          あねへ すっかりたっぷりずいぶんご無沙汰をしてしまいました。と、毎回言っている気がする…… 前回の手紙から、夏休みを丸ごと挟んでしまいました。 (甲子園は熱かったね。104回目にしてついに深紅の大優勝旗が白河の関を越えたね。青春って密だね。) ときどき思い出しては不思議に思うのですが、どうして私は小学生のとき、長期休暇に絵日記を書いていたんだろう?同級生は誰ひとり提出していなかったから自発的にやっていたのだろうけれど、インドア派で自宅と平穏と安寧を心から愛する子供の、変

          一日の終わり(いもうと)

          アップデートの日々(あね)

          いもうとへ ご無沙汰してました。本当に、あっという間に時間は経つね。 ありのすさび、の話。教えてくれてありがとう。人の営みや感性は、昔も今も変わらないように思えました。朝が来て、1日を過ごして、夜眠りまた朝が来る。新しい朝は、アップデートされた新しい自分との出会いでもある。そんなことに気づいていたいと思いました。 「人付き合いは腹6分目」という言葉について。あなたが、  ちょっぴり意外でもありました。私は、あねは誰に対しても全力で「話せばわかる」「理解してみせる」とい

          アップデートの日々(あね)

          ありのすさび(いもうと)

          あねへ 大根のトマト煮って美味しいんだ! 自分に合わないものを無理して演じる、の例としてトマト煮を上げてみましたが、難なくこなすのね。大根ごめん、君を軽んじていたよ。そのうえフライにもなれるとは、どこまでもポテンシャルが高い。何でもできちゃうね、大根。 「ありのままの私で愛されたい、なんて、泥のついた大根をそのまま食べてほしいと思うようなこと。自らを磨いてちゃんと料理なさい。」 前々回から続く美輪さんの名言ですが、この解答にはもちろん相談があって、確か「ありのままの私を愛

          ありのすさび(いもうと)

          大根に備わる知恵(あね)

          いもうとへ 今年の梅雨は早く訪れて、夏は暑いのだとか。ひぇ〜勘弁。今が1番よい時期かもなぁ。元気? さてさて。大根をトマトで煮こむの、いいと思うよ。季節は真逆だけれど、寒〜い冬に、洋風おでんみたいにして。ベーコンや鶏肉なんかと合わせて、玉ねぎやにんじんもゴロゴロ入れて。かぶなら溶けちゃうところの染み染み担当を、大根になら安心してまかせられるし! とはいえうちの子どもたちは、煮た大根はたくさんは食べず、大根ならフライが断然好きだけど。外さくっと、中はじゅわっ。 私はぴちぴち

          大根に備わる知恵(あね)

          傲慢と大根(いもうと)

          あねへ すっかりご無沙汰してごめんなさい。みんな元気ですか? こちらはようやく暖かい日が続いています。数ヶ月前は雪だらけで大変だったのに、雪はとけて、桜も梅も一気に咲いて、ポワポワした八重桜もそろそろ終わりそうで、今日は近所の公園の藤棚に、花がいくつか咲き始めているのを見つけました。 前回の手紙の、補足をします。 あねが少女の私に伝えてくれた言葉のことです。 傲慢。辞書の意味は「高ぶって人をあなどり見下す態度であること」です。私はあねからもらった言葉は、忠告だと思っていま

          傲慢と大根(いもうと)

          この世の全ての人がもっている痛み(あね)

          いもうとへ 先日はありがとう。子どもたちは、あなたとだんなさんに可愛がってもらって、とても満足そうでした。子ども時代は、いっぱい愛情のエネルギーを溜める時だなぁと思う。愛された記憶や感覚は、この先生きてゆくための原動力であるよね。 Rくんへの考察を深めてくれてありがとう!確かに邪推かもしれないけど笑。 それにしても、野球をやめてバスケをやりたいと思った彼も、それをあの場で口にするんじゃねぇと憤った夫にも、それぞれのニーズや痛みがあるのよねぇ。 「野球あきちゃったから、バス

          この世の全ての人がもっている痛み(あね)

          「蔑ろにしないで」(いもうと)

          あねへ こんにちは。いもうとです。 先日は、あねと甥たちの顔が少しでも見られてよかった。そして、少ししか顔を見せられずごめんなさい。 春休みが終わって新学期。小学校からチャイムも聞こえてきます。 甥たちも進級、Rくんはバスケ部の見学に行ったでしょうか。 「チャラ男」Rくんの話は、義兄が真面目でまっすぐな野球少年であったことを知るとともに、Rくんが斜に構えてしまうその感じ、思春期!と思ってしまいました。 好きなものを好きと言うのが急に照れ臭くなる気持ち。 一生懸命に汗まみれ

          「蔑ろにしないで」(いもうと)

          人は痛みを分かられたい生き物だ(あね)

          いもうとへ こんにちは。大雪の中での引越しお疲れ様。ぎゅうぎゅうな本たち、さぞかし引っ越し屋さん泣かせだったでしょうね。 ところで、あなたにいただいたお手紙に、すぐに返事をしたくなりました。まさに昨日夫と話していたことを、あなたの手紙の中に見たからです。 私たちの交わす話もそうであるように、人はこの世にただ起こった「現象」について、自分の解釈をするでしょう?それがあなたの言う、 
素直に受け止めるだけでいいものを曲解したり、否定したり、誤解したり、反発したり攻撃したり

          人は痛みを分かられたい生き物だ(あね)

          チャイムの聞こえる部屋から(いもうと)

          こんにちは。いもうとです。 またしてもご無沙汰をしてしまいました。 近況をご報告しますと、引越しをしました。市内ですけれど。 荷解きをしながら、気づいてしまいました。うち、本が多い。 ひと部屋の壁3方向が本棚で(窓の下半分は隠れました)、居間にも長身の夫と同じ背丈の本棚をひとつ新調して置きました。流石に余裕があるだろうと思っていたのに、それらはあっさりと、実にぴったりと埋まりました。 驚きです。どこから増えてきたんでしょう。フシギだなあ。これじゃもう増やせないのかなあ、と言

          チャイムの聞こえる部屋から(いもうと)

          ふるさと(あね)

          いもうとへ 浜辺の歌、懐かしいです。合唱部だったあなたの、澄んで伸びやかなあの声で、歌ってほしいと思いました。 ちちの弱音を知って、泣きました。5つ歳の離れた私とあなた。私が高校卒業と同時に家を出てからの時間は、ちちの側にいるのは母とあなたと、さらに小さな弟だった。体も心も老いを感じ、余計に怒りっぽくなっていったちちを、あなたたちが支えていたのだよね。ありがとう。ごめんね。ちちの怒りの傾向と対策、喜ぶツボや許せる心を1番持ち合わせていたのはきっと私だったのに。何もできなか

          ふるさと(あね)

          浜辺の歌(いもうと)

          あねへ こんにちは。 札幌は数年来の大雪です。日に日に大きく高くなる道路沿いの雪山、車線の減った幹線道路は大混雑、ついに全線の止まったJRと、大混乱でした。 アパート住まい車なしの私に雪かきの苦労はありませんが(むしろ申し訳ない)、春と緑と土の匂いはそろそろ恋しいです。 先日の、あねの手紙。 ちちは苦しいとか辛いとか、そんなことは言わなかったね。悲しみや嘆きも見せたことはなかった。ちちの感情表現は、怒りだった。うまくいかないことに、満たされないことに、感情をうまく表現で

          浜辺の歌(いもうと)

          マチネの終わりに、より(あね)

          いもうとへ 前の手紙からもう一月も経ってしまいました。あなたの手紙に衝撃を受けたのに、うまく言葉にできなかった。 「どんな人も、どんな雇用形態でも、休みたいときには不安なく休めたらいいのに。死後見つかった父の手帳には、ある日の日付に「解雇」と記されていました。どんな気持ちで家に帰ってきたのでしょう。」 というのが、その件です。ちちは苦しいとか辛いとか、そんなことは言わなかったね。悲しみや嘆きも見せたことはなかった。ちちの感情表現は、怒りだった。うまくいかないことに、満た

          マチネの終わりに、より(あね)