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美術館はタフネス! プラド美術館 マニアック編

今夏、マドリードのプラド美術館に行った。見終わるのに7時間。
7時間!!でも足りない。あと3時間は必要。
タフネスの発揮しがいがある。

私は西洋美術オタクなので7時間かかったが、美術館に7時間なんて!という人の方が多いと思うので、僭越ながら“プラド美術館・ここに注目!”を私の偏見のもと紹介します。
今回はマニアック編。そこ~?!みたいな感じ。
※正統派編はこちらhttps://note.com/preview/n0df8e4ed541f?prev_access_key=c7ef967af16036c681bfc64ebd98239b

1.チケットの作品を探す

プラド美術館のチケットには「とある美術作品の手元」が印刷されている。例えば私のチケットはこれ。

最近はeチケットも多いから、紙のチケットは嬉しい!

この“手元”は何種類かあるみたいで、一緒に行った友達は別の“手元”だったし、前に並んでいたお兄ちゃん(全然知らない人)はたぶん受胎告知のマリアの手元だった。

手元から推察されることはいろいろ。私のチケットだと
肖像画だな
・パールっぽいアクセサリーをたくさんつけているから女性かな?
・色彩が暗めだから、制作時期はバロック時代(17世紀)までかな?
・絵画のタッチから油彩
などなど。そう、気分はまるで名探偵
自分のチケットに印字されている作品を探すのも楽しい。

2.0階の16世紀までのスペイン美術

正統派編では「ティツィアーノ」やら「ヒエロニムス・ボス」やら「ベラスケス」を挙げた。もちろん、偉大な巨匠たちの作品が素晴らしいのは言うまでもない。ただ、プラド美術館でしか見られない作品にも目を向けると、もっと美術館が楽しくなる気がする。

プラド美術館0階(日本でいう1階)には、16世紀までのスペイン美術が展示されている。私としてはこのエリアが一番興味深かった。

16世紀までのスペイン美術は美術史上ではスポットライトがあたりにくい。西洋美術史を概観するとき、スペイン美術に光があたるのは17世紀の黄金時代から。
エル・グレコが出てきて、ベラスケス、リベラ、ムリーリョ、スルバランと続く。

スペインは他ヨーロッパ地域と比べてイスラムの影響が強かったり、レコンキスタ(国土回復運動)などで内紛が続き、スペイン国内で芸術の醸成が難しかったのかもしれない。
なので、16世紀までのスペイン美術エリアを鑑賞していると、「ルネサンスの考えや技法が少し遅れて輸入されているな」とか「イスラム教とカトリックの影響が強いから立体的な芸術作品は広まりにくかったのかな」とか「マニエリスムの時期が短いな」とか。スペイン史⇔スペイン美術史⇔他国の美術史との関連が興味深い。

世界広しと言えども、16世紀までのスペイン美術作品をたくさん鑑賞できるのはプラド美術館くらいではないだろうか。
最初にあと3時間足りない、と書いた。その足りなかった3時間は16世紀までのスペイン美術エリアに費やしたい。

マドリードに行く前にスペインの歴史についてもっと学んでいけばよかったと、ちょっと後悔。
帰国して復習がてら、こんな本を読みました。


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