「この前、池のほとりで木を切っていたんだけどさ」
　「うん」
「手が滑って斧を池に落としちゃったんだよ」
　「よくないな。その話、よくないよ」
「何が」
　「環境破壊だろう。水質が悪くなるだろうし、魚が傷ついたかもしれない」
「いや、そういう話じゃなくて。寓話的に」
　「当事者意識が欠けてるね。不用意に落としたのはお前だろう」
「確かにそうなんだけど、不可抗力だから」
　「都会で仕事してる癖に休日だけパタゴニアを着てレンジローバーで出かけて行って、ランバージャック気取りかよ。ダセえな」
「何でそこだけ英語なんだよ」
　「『木こり気取り』だと言いにくいから変えたんだよ」
「おのののか、みたいになっちゃうからな」
　「のこいのこ、みたいになるね」
「古いな」