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ネットとの違い:Anizine

本が重版になり、Amazonへの初回出荷分もなくなりました。ホッと一安心です。先日「どうしたら本が書けるんですか」と聞かれました。よく知らない人からのあまりに素朴な質問なので、渾身の無視をしようと思ったのですが、自分の考えをまとめるために丁寧に答えてみました。

まず、本は書きたいと思っても書けるものではなく「書いてください」と出版社から頼まれないといけません、と言いました。

自分が思ったことをネットに書くのは誰でもできますが、それは「書く自由」が保障されているからです。ただしそれは書くところまでで、読まれる保障ではありません。フォロワーの友人たち数十人しか読んでいないのなら居酒屋に集まったときにでも話せばいいことです。それと似たものに自費出版があります。自分が書きたいことを自費で本のカタチにすることです。これは体裁だけは流通している本と同じなのですが、意味が違います。それも居酒屋で集まったときに友人に配るだけで終わります。

ダイヤモンド社の編集の今野さんが「Twitterなどのソーシャルメディアで見つけた著者と何冊も本を作った」と言っていました。つまり、世の中に出ても意味があると思われるコンテンツは、必ず誰かが見つけ出すということです。自分の本がそうであるとはこれっぽっちも思っていませんけど、だからこそ今野さんに依頼されてできあがった本がAmazonのランキングに載り、重版になった事実を知って『ホッとした』のです。彼の判断を裏切らなくて済んだ、と。

「中年のダメなところ」とわかりやすく限定してしまいますけど、若いという含み益もなく、老練な人間国宝のような確固とした地位を確立していない我々中年は、放っておくと『老害』をまき散らします。どうしたら害を飛び散らせなくて済むかというと「俺の方を向いてくれ」とお願いしないこと、それだけです。若くもなければ、大財閥でもない、小さな成功体験を元に説教したがるような人が好かれるはずがありません。皆が自分の方を向いていないのはなぜかという自覚がないから、また自分の方を向いてくれとメガホンを使って叫び、それが理由でまた無視されるのです。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。