見出し画像

四ツ葉荘 第1話 個性豊かな住人たち

はじめに

四ツ葉荘 プロローグ 秋葉の引っ越し|月ノ宮闇|note
からお読みくださるとわかりやすいと思いますわ。

どうぞごゆっくりお読みくださいませ。




本文

私は神田秋葉。今日から四ツ葉荘の「新緑の間」の住人になった。
荷物の整理をして寝落ちして、気付いたら夕方になっていた。

西日の差した自室で十数分ほど待っていると、みなとさんが呼びに来た。

2人で1階の食堂へ向かいながら、私は気になることを質問した。

「みなとさん」
「どうしたの?」
「家賃はいくらですか?」
「いらないわ」
「え⁉」
「家賃は無料。秋葉さんも、他の子もタダで住んでいるのよ」
「だとしたら、何か必要なことは…………」
「そうね……しいて言うなら、週に1回、カウンセリングを受けてもらうこと……かしら?」
「カウンセリング……ですか?」
「そうよ。秋葉さんに何かあったら大変だからね」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「もしかして、説明のときに訊きづらかった感じ?」
「⁉どうしてわかったんですか?」
「秋葉さん、そんな感じの顔だったから」
「……ごめんなさい。」
「謝ることないのよ。私、他人の言いたいこと、なんとなく分かるのよ。気にしないで」

そんな会話をしているうちに、食堂に着いた。

「秋葉さんはここで待ってて」

みなとさんは中の様子を見に行った。

「秋葉さん、入ってOKよ!」

みなとさんにOKをもらい、私は食堂に入る。







食堂には数人の女性がいた。皆私と同い年ぐらいだろう。

「彼女が新しく入った子、秋葉さんよ。秋葉さん、自己紹介をしてくださる?名前と部屋だけで大丈夫よ」

みなとさんに促され、私は自己紹介をした。


その後、他の女性たちも自己紹介を始めた。

「あたしは木場ゆら(きば ゆら)。大地の間に住んでいるんだ!」

「あの…霞ひびく(かすみ ひびく)です…。雲海の間に住んでいます…。以後、お見知りおきを……」

上原那留(うえはら なる)。雑木林の間に住んでいるの」

高島藍(たかしま あい)です。部屋は夜空の間です」

本町祈(ほんまち いのり)。橙の間

「私は葛西海(かさい うみ)。住んでるのは梅花の間だよ。よろ~」

四谷信濃(よつや しなの)といいます。普段は黄砂の間にいますので、用がある場合はこちらに……」

「みなと様のメイド、大井駿馬(おおい しゅんめ)です。お部屋は蒼天の間でございます。秋葉さん及び他の方々の情報管理はわたくしが受け持っております。その他雑務も担当しておりますのでお気軽にお申し付けください。その他、他言無用故、以上です」

一通りの自己紹介が終わり、宴会が始まった。

他の住人が雑談に花を咲かせている中、私はなかなか会話に入れなかった。
困った私は、みなとさんに話しかけた。

「みなとさん……」
「どうしたの?」
「私、仲のいい人たちの会話に交じっていくのって、あんまり得意じゃないんです……」
「そうだったの…(今日はこっちだったのね……)」
「え?こっちって、何ですか?」
「あら、声に出ちゃってたのね。こちらの話よ。気にしないで。」
「…………そうですか。分かりました。」

「おーい!秋葉!入っておいで!まだまだ話しきれてないからさ!」

ゆらさんの声だ。

「はーい!」
「行ってらっしゃい。」

「ごめんね~邪魔しちゃった?」
「いいんですよ。むしろ嬉しいです~」



雑談に入ってみたときの他の方の印象を書いておこう。

ゆらさんは面白い話が得意であること。
ひびくさんは雲のように掴みどころがないこと。
那留さんは教師であるらしく、悩み相談の担当は彼女であるらしいこと。
藍さんはマジックが得意であること。
祈さんはあまりしゃべらないが、駿馬さんとは親しく、馬や霊的なもののことになると熱弁しだすこと。
海さんは海洋生物に詳しく、イルミネーションマニアでもあること。
信濃さんは普段リモートワークをしているため、なかなか部屋に入れてくれないこと。
駿馬さんは無表情かつ機械的な印象を感じるが、まじめで仕事熱心であること。
みなとさんは姫扱いされるのも好きではないらしく、自分の道は自分で切り開くジャンヌダルク的存在であること。

歓迎会もお開きとなり、それぞれが自室に戻っていった。
私は歯磨きをした後、することをして寝ることにした。




次の日。

私は朝食を食べるために食堂へ向かっていた。
すると、昨日はいなかったであろう女性がいた。

「あの……」

話しかけると彼女はおびえたように部屋に戻ってしまった。

何だったのだろう。

ふと、部屋名が気になり、その部屋の名前を確認した。






その部屋は「大地」。

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

95,380件

クリエーターとして活動していくために、よりよい機材などが必要でございますわ。 ぜひご支援の程、お願い申し上げますわ。