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CAとソムリエ

会社の同期から先日「ソムリエ試験の二次対策、どうやって勉強した?!」と連絡がきた。

そうか、8月だもんね。ちょうどソムリエの1次試験の真っ只中なのか。

私は2,3年前にソムリエ試験を受けたことがある。ワインスクールに1年ほど通い、結構本気で勉強し、その年に運良く1発合格することができた。

CAにはソムリエ資格を取る人が多い。

友人にも「なんでCAってみんなワインの勉強してるの?笑」と聞かれたことがある。
「機内でワインをサービスする職種柄、ソムリエ資格の受験条件を満たしているから自己研鑽になると思い取る人が多い」とか、その時は真面目に答えたが、本心では単純に酒飲みが多いんだろうなと思っている。笑

キラキラした感じで言うと、フライトでフランスやドイツ、アメリカにステイした時に、現地のレストランでその土地のワインを楽しめるから、ワインに興味が湧いてきたんです。海外で見つけたワインを日本で見つけると、当時の記憶が蘇って嬉しくなるし、お気に入りのワインをお土産で買ってきては家族や友人にプレゼントするんです。そこから、もっとワインのことを知りたいと思うようになり、ソムリエを取れば機内でお客様との会話に繋げることができるようになると思ったんです。というところだろうか。

私がソムリエ資格をとったのは、単純にお酒が好きで、自分が何を飲んでるのかちゃんと知りたいって思ったから。日本で買うよりも外地で買った方が安価で手に入るし、現地のワインの傾向とかも知れて楽しい。(例えばヨーロッパではこの時期みんなテラスで必ずロゼ飲んでる、とか。)
あと、レストランでワインリストをもらった時に、本気で何が書いてあるか分からず、適当に注文するのがなんか悔しかったから。「とりあえず名前を知っているシャルドネにしとく。。。?」みたいに妥協して注文するのが常で、ワインリストが理解できたらどんなに食事が楽しくなるだろう、、、!とずっと思っていた。

資格、いる?

実際ソムリエを取ってみて、感じたことは、
「特に資格はいらなかったのかなぁ?笑」というのが正直なところ。
飲食店に勤務している方はソムリエ資格をとることで胸にソムリエバッジをつけたりして待遇が向上したりするかもしれないけれど、
CAは特に何も変わらない。

ごく稀にCAでもソムリエバッジを胸元に光らせている方(だいたい大御所CA)がいるけれど、ソムリエ資格を持つ大半のCAはつけていない。

以前、ソムリエバッジをつけていた先輩に「先輩、バッジつけてるんですね。すごい〜」と私が言うと、「これをつけてると、お客様がお勧めしたワインを選んでくれるし、ワインの話で盛り上がれるからね。」と。
、、ほほう。

CAの業務的な話になるが、「お勧めしたワインを選んでくれる」のは効率的でマジでありがたい。が、ワインの話で盛り上がってしまってサービスが遅れてしまって他のクルーに舌打ちされないか?笑 と思うのが正直なところ。しかも胸にバッジ付けてたら他のCAに煙たがられそう。。笑
私はこれからも付けないだろうな。

ただ、取ってみて良かったこととしては、

・「ただの酒飲み」から「真剣な酒飲み」にレベルアップした。
ソムリエの試験は割と難しいし、ちゃんと勉強しないと普通に落ちます。
なので本気で勉強しなければならず、ガッツリ知識がつきました。
そのお陰で、ワイン好きな人たちとの世界がグーンと広がりました!

バーで「ソムリエ資格持ってる」と話すと、お店の方とワイン話でとても盛り上がり、「これはなんのワインだか、当てられる?」と、色んなワインをサービスして貰えたり、リストに載ってないワインを出してもらえたり、面白いワインをテイスティングさせて貰えることがある。これは日本に限らず、海外においてもそうだ。(フランスでは話が盛り上がり、ワイナリー見学に連れて行ってもらえたこともある)
ソムリエをとる前は、比較的お酒が強い女性、としか捉えられていなかった私も、ソムリエを取ったことで、「ちゃんとお酒の話ができる相手」として見てもらえ、相手と同じ土俵に立って話すことが出来るのだ。
また、ワインはヨーロッパ社会では教養としてみなされることが多く、アートや音楽などの芸術と同じように知っているだけで品格があると思われる
↓こんな本もあるくらい。(この本読むと、ワイン勉強しよ!と思うよ。)

以前、フランスの友人を尋ねた際に、その友人の家族と一緒にディナーをすることになった。相手の家族は英語があまり得意ではなく、私はフランス語は全く出来なかったのだが、ワインを共通の言語として話がとても盛り上がった。
ワインを勉強すると、ヨーロッパの地理や歴史をかじるため、相手が違う言語でも、ワインの名前だけで地名やそこにまつわる歴史や食文化が
わかり、話がなんとなく分かるのだ
。結局、家の自慢のセラーを見せてもらったり、食後には十種類のフロマージュとそれに合うワインや食後酒に舌鼓を打ちながらワイン話に華を咲かせた。

ちょっとした副業に繋げることもできる、かも?

「ただの酒飲み」から「真剣な酒飲み」にグレードアップしたことで、日本でちょっとしたプチワイン講演をしたこともある。よく行くバーで常連客向けにした小さなものだったが、少しだけ反響があり「うちの店でもやってほしい!」とお誘いを受けることもあった。きっとちゃんと企画をすれば小さなイベントを開くこともできるだろうと思う。(結局そこまで頑張ろうと思わなかったけど)
その経験がきっかけで、会員しかいけない日本でも名門のワイン会に参加させてもらえたり。ちょっとしたご褒美的なサプライズもあったので、「真剣な酒飲み」にグレードアップして本当に良かったと思う。

その他にも、

ステイ先で他のクルーに、どんなワインがお土産にお勧めなのか進言できる。クルーみんなでレストランに行ってもワインオーダーを頼られる上に、自分の好きなワインを注文できるし、やたらとありがたがられる。

社内のPR要員として選ばれることがある。(機内誌とかでCAがボトルを持っている写真みたことあります?)

などの副産物もあります。

ワインにハマりすぎて、そのままCAを辞めてワインの道に進んでいった先輩もいらっしゃり、転職を考えているなら資格を持っていると有利にはたらくこともあります。

別の記事で、「ソムリエとるくらいなら、もっと士業の資格勉強とかをしておけば良かった」と書いたし、資格はいらないんじゃないか?と思うところもあるけれど、結局のところ、私はソムリエ資格を取って後悔した事はない。何もせずにただ漠然と毎日を過ごすだけの日々に比べたら勉強で忙しかった日々の方が幸せだった。

これから資格を取りたいと考えている人がいるならば、他にやりたいことがなければ、取るといいかも知れない。と思う。ワインを知る前と知った後では確実に人生が豊かになったな、と実感しているから。職場での待遇向上など直接的なメリットは少ないし、スクール代もバカにならない。でも知識は一生無駄にならないし、この先おばあちゃんになってもずっとワインを嗜み続けたいと思う。

次回はソムリエ二次試験対策について書こうと思います。

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