Anti-Trench Mania

Anti-Trenchを聴きたい、知りたい、語りたい、という人のためのページ。

あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #24

#24.あとがき

さいきん、接骨院に通いはじめた。
わたしはいまひとつ自分の身体に明るくない。本ばかり読んで育ったせいかひどい猫背だし、まず「身体がイメージどおりに動く」という経験がほとんどない。たまに自分が映っている動画や写真を見ると、あまりに思想なき動作や立ち姿にぎょっとする。
まあ、読んで書くだけならたまにぎょっとするくらい別にいいのだが、詩の朗読で舞台に立つようになって三年経つ。人目にふ

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #23

#23 不特定のあなたのこと

 わたしが、あなた、と心のなかで呼びかけるとき、あなたのことはまだ知らない。

 「知らない人」には二種類あって、まずひとつが町や電車のなかですれちがう、具体的な姿がみえているけれど関わることのない人。SNSで見かける人もここに入る。日常でたまたまふれあう膨大な人のなかで、関わりが極端に薄い大多数の人、という感じだろうか。この人たちのことは、出会ってはじめて「知らな

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #22

#22 fragment

約一年弱のあいだ、「人生で出会ってきた誰か」のことを書きつづけてきた。
次回はだれのことを書こうか、と考えるとき、家族から知らないひとまでを順に吟味してひとりを選びぬくことになり、当然、いろいろなことを思い出す。

そのなかには、どうにも書くまでにいたらないできごとが、いくつかある。特定のテーマにまとめられない、あまりにささいすぎる、わたしの誤認や思い込みが含まれて

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #21

#21  わたしではないわたしのこと

都心から川を渡ったところにある街に、十二年ほど暮らしている。なので、ほとんど毎日電車で川をまたぐことになる。
線路は架橋を通っていて、日が暮れてから電車に乗ると、向こうに街明かりが見える。それを、十二年のあいだいつもすこしずつ、平熱を超えない程度に好きでいつづけてきた。川の上を通る時だけは、iPhoneや、ガラケーや、iPod、文庫本、そのときどきに見ていた

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #20

#20 中二のときの担任のこと

いまや、うつ病の人を「がんばれ」と励ます人はいなくなった。

と、言いきってしまうのはさすがに言いすぎで、いまだ無理解は蔓延っているのだろうし、さらにそもそもがそれだけで済む問題でもない、というのはもちろんのこととして、でも、セクハラや痴漢と呼ばれることをおそれて女性のからだに触れなくなった男性は多いだろうし、軽々しく「ホモ」とか「レズ」とか口にする人も、まあ、減

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #19

#19 ミャンマーの女の子のこと

まさか、自分が海外へボランティアへ行くなんて、思ってもみなかった。

性格が悪いといわれそうだけど、「海外ボランティア」と聞くと、なんとなくたじろぎがちだ。
まず、警戒。「海外」で「ボランティア」という響きから、ある種の近寄りがたい派手さを感じとってしまう。就活映え、というか、ほめられオーラ、みたいなもの。わたしが基本的に陰気だからか、わざわざ海外まで行ってえら

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