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読書感想『最初の悪い男』(新潮クレスト・ブックス)

『最初の悪い男』ミランダ ジュライ (著), 岸本 佐知子 (翻訳)  9冊/106冊

主人公のシェリルは40代独身女性で一人暮らし。仕事と自分の生活を大切にしている。モテない。職場の上司に不器用な片思いをしている。
そんな女性の自宅に知人の娘が転がり込んでくる物語。20歳のクリーは不衛生で足が臭く、そこら中をゴミだらけにするだらしなさ、そして暴力的と、シェリルの生活をめちゃくちゃにしてしまう。

シェリルは孤独だけど、孤高ではない。客観的には自由で自立した女性だけど、内実は何だかみじめで少しダサくてカッコ悪くて、変わったところも多いのに、妙に共感する部分もある。
そんなわけで、土足で踏み込んできたクリーの傍若無人ぶりに私までゾッとしたけど、自己完結できない他者との生活が、シェリルをいつの間にか楽しませていて胸を打たれた。シェリルもクリーも無茶苦茶で全然美しくないけど愛おしい。岸本 佐知子さんの訳者あとがきも素晴らしい。とても良かった。

翻訳者の岸本 佐知子さんのインタビューもとても良いのであわせてどうぞ。


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