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読書感想『イラクサ』(新潮クレスト・ブックス)

『イラクサ (新潮クレスト・ブックス)』 アリス・マンロー (著), 小竹 由美子 (翻訳) 11冊/106冊

ノーベル文学賞作家アリス・マンローによる九つの短編集。
ほとんどが女性が主人公で、淡々と日々を繰り返している。みな客観的に見たらそこそこ幸せな生活を送っている人たちだけど、そこはかとなく漂う息詰まり感がよく分かって苦しい。

まいにちを繰り返し生きることが不幸に感じるのは何故なのか。登場人物たちの場合は、夫から少しだけないがしろにされていたり、意思を尊重されなかったり、そんなことの積み重ねによって、ちょっとずつ自分を空虚な存在たらしめているように見えた。

それでも日々は愛おしい。個人的には、この数年「人生の行き止まり」感ばかり見て気疲れしていたけれど、アリス・マンローのことばの美しさによって、そのことを思い起こされた気がする。
この本は、今後100年読み継がれると思う。


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