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読書感想『突然ノックの音が』(新潮クレスト・ブックス)

『突然ノックの音が(新潮クレスト・ブックス)』エトガル ケレット (著), 母袋 夏生 (翻訳) 13冊/106冊

イスラエル出身の作家による小説。イスラエルの小説なんて、今まで読んだことがあっただろうか。イスラエルの人たちがいま何をしてるのか、どんな音楽を聴いているのか、夜ごはんを食べたあとどんなふうに時間を過ごすのか、私は何も知らない。

この短編集は、ごくごく短い物語が38篇と詰まっていて、書評曰く「スナップショットのように」いろんな人の人生を切り取っていく。そこでは、物語を求める強盗が小説家を襲い、飼い犬だけが自分の味方だと半ば倒錯的にすがりつくサラリーマンの姿があり、自殺したくなるほど愛される女の子がいる。どれも私の日常とは随分違うけど、個人の生活を垣間見ることでイスラエルが、身近に思えてくる。知らない場所で知らない人が、私たちと同じように、時には全く異なる生活を送っている。


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