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詩「パスワード」「白竜と夜光」「refrain」 colony vol.4 展示作品

詩「パスワード」「白竜と夜光」「refrain」 colony vol.4 展示作品

「******」という
あなたの言葉が この世でみつけるべき答えの一つだった。

モンスターの血を持つわたしには言葉の持つ力はすさまじくたったひとつの言葉で長年の病が治るようだった

ずっと欲しかったの
わたしの中の秒針がひとつ進み
ようやく愛を信じることができる

どれほどのことを成し遂げたのか
あなたはきっと気づいていない
どんなに嬉しかったか天国の待ち合わせ場所で打ち明けよう
生まれ変わった

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離島

なんどもここに来てしまう
潮が満ちれば消えてしまいそうな島に
わたしは立ち尽くし
誰の名前を呼べば良いのかわからなくなる

夜とも朝ともわからない時間のなかで
前世の記憶のように大切な人たちの顔が浮かぶ

大切なひとが私への興味を失い
冷たい目を向ける夢をよくみる
このひとのもとから私に関する記憶が
なくなり
わたしが果たす役割は終えたのだと
もうわたしがこのひとにしてあげられることはないのだと

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空港

空港

小学三年生の頃から
お父さんが単身赴任で海外に行くようになった
会えるのは年に数回だった

お母さんの体が弱かったから家族で出かけたりはあまりしなかったけど
お父さんが帰ってくると普段は出来ない遊びができた 図書室にない新しい本を買ってくれた

多分この頃から
私は楽しい時間のことをいつか終わる時間だと思うようになった
1週間お父さんが帰ってきたとして
4日目にはもう寂しい

終わったあとのこと

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天国の待ち合わせ場所

天国の待ち合わせ場所

喫茶店に行きたい
ずっと喫茶店に行きたい

深い椅子にもたれて
自分と 目の前のあなたと向き合う時間

日々は
喫茶店から次の喫茶店に向かうまでのこと

本当は何を話したかなんて覚えてないんだ
ただこの小さな机と椅子が
わたしとあなたの世界として確かで
ここだけでいいのに
わたしが守りたいのはこんなに小さな世界なのに、と思って
幸福で尊い時間を噛みしめることしかできない

喫茶店は時間を吸って生き

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一つ眼モンスターと朝焼け

突然、わたしは一つ眼モンスターの生まれ変わりだと理解した

正確には、もうひとつの世界でわたしは一つ眼モンスターとして生きているだろう、とわかった

脳裏には、深い森で膝を抱えてうずくまる毛むくじゃらの怪物が浮かんでいた
あなただったのね

こんなにも朝焼けに憧れるのも 誰かの体温が恋しいのも 女の子とは思えない毛深さなのも 乱視で世界が歪んで見えるのも
全部
あなただったのね

わたしの魂が輪郭

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ゼリー/深海

ゼリー

わたしのこころは とても歪な形をしていて 柔らかくて 例えるならゼリーのよう
だからすぐ形が変わってしまって 崩れてしまう
そして いちばん近くにいるひとに影響を受けやすく そのひとの形に変形してしまう

最初は新しい形が新鮮で満足してこころも安らぐ
でも突然 もとのわたしのこころが疼くの
もともとの歪な形に戻ろうと プレートによる地震のように こころとこころが反発し合う
それは痛くて痛

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「てんとう虫」「ともだちのこいびとさま」

てんとう虫

「美」とか「愛」がつく名前の女の子は ちゃんと名が体をあらわしていて 笑顔がかわいくて あかるくて 人気ものだった わたしは体操服がきらいで 肌をひかりにさしだして 健康ですって おひさまに示さなきゃいけないみたい まわりの子がしろくてつやつやでやわらかな肌を 惜しげもなく見せつけているあいだ わたしはパーティーに迷い込んだ野良猫みたいに すみっこで てんとう虫を目で追っていました 

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不安定な星の軌道

わたしは軌道が不安定な星 いつもふるえていて まわりの星々と明るさを比べて 明るい銀河の中で 独りぼっちの気分でいる 
誰かの衛星でいたい 確信できる惑星の 軌道に乗って もう大丈夫だって思いたい わたしから選ぶことは あなたが引き連れている銀河系の中に入って みんなのうちのひとりになるということ でも わたしはあなたと ふたりきりになりたい 広い宇宙の中で 選んで わたしたちは絶対だからって つ

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