見出し画像

紅茶とチョコレイトについて

深夜1時57分、喉の乾きで目が覚める。
彼女は台所へ向かいコップを手に取り、蛇口から水道水を捻り出す。
その水が美味しいものなのか美味しくないものなのか彼女はよく分からない。しかし喉が乾いているので美味しいことに変わりはない。

水は彼女の喉を通って胃へ行く。
そこからはどのくらいの時間をかけて体内を通り抜けるかは知らない。

彼女は又、不安で押しつぶされそうな夜は台所の床でミルクティを飲む。
何時だろうが構わない。砂糖入りのミルクティを作って飲む


蜂蜜でこってりと甘くした紅茶は、彼女にとっては贅沢そのものだ。ミルクティにするのではなく、紅い透明な紅茶。
定番のダージリンティー、春に買ったいちご風味の紅茶、ホワイトチョコレイトの紅茶。ETC。
蜂蜜紅茶は誰かの腕で包まれたい夕方に。

冬はもっぱら温かい紅茶。
隣にはミルクチョコレイト。
ダークのチョコでも嬉しい。

口にチョコレイトを放り込む。
1回軽く噛んで、2つになったところで紅茶を少し口に含む。
濃厚なチョコレイトティになる。

彼女は白い歯に憧れて、紅茶を飲むのをやめたことがある。しかし彼女の心の天秤で重かったのは紅茶。結果、歯磨き粉を進化させた。

しかし元はと言えば、1人でも楽しめる趣味が欲しかったから集めたお茶。
こんなに好きになるなんて、彼女はきっと思っていなかったに違いない。


台所の床で手元にある無色透明の水を見詰めながら、彼女は彼女の体内にある水が今どの辺りにあるか考えていた。

#紅茶のある風景 #エッセイ #小説 #短編
#文章

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?