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慢性痛に本当に効果がある行動とは?【慢性痛に行動活性化③】

今回の記事では科学研究費での研究の一環として「慢性痛への行動活性化」という心理療法を開発しているのですが、その内容についてお話ししていきます。痛みでお困りの方に少しでも役に立てれば嬉しいです。

今回の記事では「慢性痛に対する行動活性化」の概要についてお話ししていきます。特に、なぜ?どのように?慢性痛の改善を導くのか?を説明しますね。

前回までのおさらいはこちらから

慢性痛はなぜ続く?

痛みに対して一般的な反応として、多くの人が活動を避けがちになります。これは短期的には快適さをもたらすかもしれません。

一方、長期的には運動不足や社会的孤立を招き、痛みをさらに悪化させる恐れがあります。しかし、短期的には痛みを緩和する効果があるために、こういった悪循環が続き、抜け出せなくなっています。

そして前回話したゲートコントロール理論やドパミンの低下が引き起こされ、痛みのことを気にし続けるようになった結果として痛みが続いてしまいます。

行動活性化では何をするか?

行動活性化のプログラムでは、痛みに目を向け過ぎることなく、生活を豊かにすることに焦点を当てます。

痛みを改善するための行動活性化モデルでは、全体的な生活の質を向上させるために、活動レベルを徐々に増加させていきます(動きすぎの場合は適量にしていきます)。

目標は、身体的、社会的活動への参加を通じて、個人の気分や自己効力感を高め、結果として痛みへの注目を減らしていくことです。

これには、個々に合った楽しい活動、達成感を感じる活動、リラックスできる活動を見つけ、それらを日常の行動レパートリーとして定着させることが含まれます。

行動活性化の目標

プログラムの目標は三つあります。第一に、痛みがあっても生活が充実していることを実感すること、第二に、生活が充実することで痛みに対する注意が薄れること、そして長期的な目標として、充実した生活がドパミンのバランスを改善し、結果として痛みを感じにくくなることです。

行動活性化での慢性痛の改善に対する効果は、実際に改善を感じた後に振り返ることでのみ理解できます。

毎日痛みが改善したかどうかを確認することは、逆に痛みへの注目を高めてしまうため、避けたほうがいいです。

その代わりに、生活を良くすることに焦点を当て、行動活性化に取り組んでいきましょう。

行動活性化の3つの原則

行動活性化の原則には、

①痛みや気分ではなく計画に沿って活動をスケジュール化すること
②小さなことから始めて変化を容易にすること
③まずは行動を起こして実験的に結果を評価すること

が含まれます。

行動活性化を取り入れることで、慢性痛と付き合いながらも、痛みに生活を支配されることなく、より意味のある生活を送ることができるようになります。

行動活性化は、単に痛みを管理する手段以上のものです。それは、個人が自分の生活を再びコントロールする力を取り戻し、活動的で満足のいく生活を送るための道を示してくれます。

今回の記事では慢性痛に対する行動活性化の概要についてお示ししました。次回の記事では、行動活性化の原則についてさらに詳しく見ていきましょう。

それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


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