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ブドウの失敗をシャインマスカットで越えていく (日記)

おじさんからの郵便物は大抵、朝のメイク中に届く。
おじさんというのは私の長年の文通相手のことで、つい最近「飼い猫のパンダちゃんの注射代が高くなったから今後は贈り物は出来ない」と言っていたのに、その宣言後、二回目の贈り物が届いた。

家のチャイムが鳴った時、私はまだ眉毛を描いている途中だった。前髪をとめていたピンを急いで外し、パーカーを羽織った。下は柄物のレギンスだったけれどスポーティだから許されるだろうと思って堂々とドアを開けた。
堂々と出ていった割に郵便局員の目を見ることは出来なかった。控えめな動きで荷物を受け取り、すぐに家の中へ引っ込んだ。

送られてきたダンボールには『くだもの、本』と書かれていた。おじさんからの本は年季がはいりすぎていて、触れるのもなかなか勇気がいる。


最初に出てきたのはくだもの🍒
ありがたい✨


本。……怖い😱


とりあえず本は後回しにして、果物の箱を開けると、様々な種類の中にシャインマスカットがあった。

「今年まだ食べていない!嬉しい♡」

前回私は、送ってもらったブドウにカビが生えていたことを正直に伝えた。
おじさん以外の人が相手なら、おそらくブドウのことには触れないでお礼だけ伝えるのだが、おじさんの場合は違う。
おじさんという人は、失敗から学び、その経験を次に活かすことに、この上ない喜びを感じる人なのだ。だから敢えておじさんには正直に伝えた。おじさんにとってその悔しい経験が、今回のシャインマスカットに繋がったのだと思う。ちゃっかり、私も嬉しい。

おじさんへのお礼には、先日仕入れたビール券を送った。20枚買ったので、今回は5枚。おじさんを甘やかしてはいけない。

「秋の夜長のお供にどうぞ🍁」なんて一筆添えたが、おじさんは規則正しく、夜は20時に就寝し、目覚めるのは深夜2時だ。
秋の夜長の一番いい時間帯は夢の中にいる。
それでもまぁ、楽しくやってくださいよという気持ちですぐに送った。
すぐに送っても届くのは火曜日らしい。
だから手紙には毎回必ず日付を書く。

「その日のうちにお返事を書きましたよ!」

というアピールをお互いにしている。
おじさんは時間まで書いてくるところが憎い。次からは私も書くことにしよう。




#日記

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