粉雪の舞う野っ原に、大人たちが集まっている。たまにその中央は、眩しく光る。
一体何をしているんだ。
僕は一歩一歩近づいて行く。
大人たちは口々に何か言っている。

「いいねー」
「可愛いよ」
「もうちょっと…そうそう！」

僕が近づいていることに誰も気づいていない。
大人たちの背後に周り、隙間から中を覗く。
「えっ」
水着を着た女の人。
グラビアってやつだ。初めて見た。
「おい、何やってんだ」
一人が僕に気づき、体を押して遠ざけようとしてきた。
「やめろ、そっちこそなにしてんだよ」
僕は負けなかった。だってここは、僕らの土地だ。
「撮影会だよ。お前が見たって仕方ないだろ、エロ坊主」
「僕だって見る権利はある」
「ないね。会員制だ」
「どうしたら会員になれる？」

男は僕を見た。
「歌うんだよ、あれを」
「あれって？」
「知らねーだろ。粉雪と言ったらあれしかねえんだよ」

あれだろ。JPOPオタクの小学生をなめんなよ。だけど…

「歌えるけどやめとく。オチがかぶるから」

[完]

#毎週ショートショートnote

Inuzukaさんのオチに被ってますか？
セーフですよね？°・*:.。.☆