未来は誰にもわからないから

「駅から家までの間の最後の交差点で…」

何気く飛び出したそんな一言に妙にインスピレーションをくすぐられたのは、多分『最後の恋(仮)』が出来たばかりだった事とも無関係では無いような気がしていますが、その『最後の交差点』という響きに自分の「せつなさセンサー」がビビッと反応しました。

「最後の交差点って何だか曲名っぽい」
「じゃあ歌作ってください(笑)」
冗談めかしたそんなやりとりのおかげで、また1曲作り上げる事ができました。

かつて同じ方向に帰る同級生と一緒に下校していた頃、それぞれの自宅に向かう分かれ道でバイバイをしていた時は、そんな毎日が終わるなんてあまり実感を持って捉えていなかったような気がします。
もちろん1学期、2学期、3学期…学年が進み卒業して…と大人よりよほどスケジュールははっきりしているのですが、まだ重ねた時間の短い身にはそれが実感を持って感じられない。
ところがあの時間ってすごく贅沢で大事な時間だったな…なんて多少ノスタルジー故の美化も含みつつ思い返したところから、基本的なイメージは学校からの帰り道に決まりました。

さて毎日バイバイしている相手はといえば…
自分の場合やはりラブソング要素(笑)をどうしても入れたくなってしまうので、最初は異性をイメージしていました。
今回冒頭の言葉をくれた人も女性でしたし、とても頑張っている方だったので、その頑張りにうまく応援の言葉もかけられずにいる少し引っ込み思案な男性を主人公に据えたつもりでした。

でも歌作りが進んで行く内に、これって何も学生時代だけの感覚では無くて、というかむしろ期限が定まっている学校の生活よりも、ふとしたことで急に別れが訪れる大人になってからの人間関係の方がより儚くて、だからこそ大事にしなければいけないものではないかと歌詞の捉え方、曲への向き合い方も変わっていきました。

そう捉えたら相手だって異性とは限らないですよね。
友人、先輩・後輩、上司…。
自分から離れることもあれば、相手の環境が変わって会えなくなってしまうこともあったり、もちろんぶつかってケンカ別れもすれば、突然に永久の別れが訪れる事もある。
そうそう、「推しのアイドルが引退しちゃった!」とか「ソシャゲがサ終しちゃった」とかだって、その人にとって大きな存在であれば一つの大きな別れだし。

一度築いた関係性とその経験は、一旦終わりを迎えたとしても自分の中から無くなってしまうわけではなくて。
「あいつどうしているかな」と折に触れて思い返す良好な関係から、ふとした瞬間に「ワーッ」となってしまう苦しい思い出まで、全てが積み重なって現在の自分を構成している。
そしてまさに今、自分の周りにある関係性にもいつ何時変化が訪れるかは誰にもわからない。
本人だって予期しない未来というのは普通にあり得ますもんね。

だからこそこの「今」を大切に過ごそう。
それ以外にできることなんてないのだから。

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