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(詩)永遠の日曜日

歌は音の集合体で
ひとつひとつの音によって
成り立っているように

風景もまた
ひとりひとりの人間や
ひとつひとつの生命体や
物質によって
成り立っているのだけれど

多くの人はそれに気付かず
人間なんて
代わりは幾らでもいると
信じていて

確かに何かが欠けた時
けれど風景は
直ぐにそれを補い
あたかも最初から
そんな風景だった顔をして
何事もなかったように
そこにあるのだけれど

いざ自分に
その欠けてゆく
失われゆくピースの
順番が巡り来た時
その時初めて人は気付く
誰かの生命の
代わりになるものなんて
何処にもなかったのだと

我が心のふるさと
この地球は歌う、星の歌を
今日も歌い続けてやまない
常に正確に
常にそして美しく歌い続ける

そのメロディの中を
ひとつの生命に過ぎない
わたしたちは
あたかも旅人のように
この星に訪れ
そして去ってゆくだけの
一片の
砂ぼこりにすら満たない

なのになぜあくせくと
生命は今日も
働き続けるのか


日曜日或いは聖日に

日々の労働から解放された
ひと時の休息の中で
なつかしい午後の
やすらぎの中で

あなたにも笑ってほしい
人知れず

互いに哀れな
一欠けらの砂ぼこりに過ぎない
わたしのために

それでもわたしたちの中に
永遠はあると

わたしたちのあの
ささやかな日曜日の
なつかしい午後の
やすらぎの中で

あなたにはやっぱり
涙でなく
笑ってほしい

あなたの泣き顔でなく
あなたの笑顔を
わたしの記憶の中に

取っておきたいから

あなたといた
ありふれたあの
日曜日或いは聖日に

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