甲斐みのり(2017)『お菓子の包み紙』グラフィック社

おさないころ、おかしをいただいたときにほしかったのは、中身のおかしより外側の箱や缶だった。
拾ってきたものや、ケーキにささっていたかざりなど、なんでもとっておきたい性格だったので、かわいいおかしの缶にしまっていた。
包装紙は祖母や母が持っていたので、わたしはもっぱら箱や缶、リボン、ひもなどを収集していた。
ある程度おおきくなってからも、服を買ったときの紙袋をずっとしまいこんでいた。

それがいつからか、収納ケースはシンプルで統一感があるものを好むようになっていった。
ひとにものをあげるとき、とっておいていた紙袋にいれて渡していたが、自分の趣味がばれるようでやめてしまった。
さらには、ストレスがたまったときに物をすてることがやめられなくなり、処分してしまった。

だが、この本を読み、そのことをすこし後悔した。

頁のなかには、意匠をこらした包み紙や紙袋、サンドイッチの箱などがずらりとならぶ。どれもかわいい。
お店のおもいがこめられたデザインをみているだけで、なんだかしあわせなきもちになれる本だ。
本書で紹介されているもののなかには、今はもう使われていないデザインのものもあるそうだ。そんなものを見ていると、かつて保管していた箱や紙袋が思い出され、ああ、どうしてこれまでとっておいていたのに捨ててしまったのだろう、とかなしいきもちがわいてきた。

最近はひとに会わず、おかしを贈ることもいただくこともあまりないが、これから機会があれば包み紙にも注目してみたい。

そして、中身を消費したあとの包み紙や空き箱。ただとっておくと考えるとまたいつか処分してしまうので、積極的に使用しながら保管していきたい。


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