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「ユーロ・マイダン革命」の街角ピアノ

『ピアノ ウクライナの尊厳を守る闘い』(2015/ポーランド/41分)監督ビータ・マリア・ドルィガス 撮影ユラ:デュネイ、アレクサンダー・チューコ

親ロシア政権が倒れた2014年、「ユーロ・マイダン革命」
あの時、誰かがピアノを演奏していたんだ。

2014年2月、親ロシア派の政権に抗議する市民や学生が機動隊と対峙した「ユーロ・マイダン革命」。この騒乱の真っただ中の首都キーウの独立広場で、音楽院の学生アントネッタ・ミッシェンコがバリケードにされようとしていたピアノを救い出した。厳寒の広場で若きアントネッタが演奏するショパンは人々の心をつかむ。そして世界的に有名な作曲家であるリュドミラ・チチュクや兵士のヴォロディミル、覆面の男ボーダンも演奏に加わっていく。政権側は彼らを「ピアノ過激派」と呼んだ。広場のピアノと4人の英雄は、やがてウクライナの平和革命の象徴となり、同時に権威主義的支配への抵抗となっていく。

2014年「ユーロ・マイダン革命」のウクライナの親ロ派政権に抗議する市民のドキュメンタリー。デモが内戦のようになっていく。バリケードを築き、道路の敷石を剥がし、タイヤを燃やして抵抗する。それでも警察の暴力は凄まじいものがあるのだが。ウクライナの人はこういうの慣れているのか、手際が良かった。この映像を観る限りロシアにそう簡単には降伏しないだろうというのがわかる映画。

アレクシェーヴィッチさんもちょっと写っていた。今はドイツに亡命しているとNHKのインタビューで述べていたが。早く平和な時が戻って帰れるようになればと思う。

ピアノはバリケードに使われていたのだが、音大生の女子がピアノが可哀想だと移動させ弾き始めた。いつの間にかウクライナ・デモでも街角ピアノになってしまった。

プロのピアニストがこんな状態で調律も狂っているのに弾けないと言った。それでも女子学生はショパン「革命エチュード」を弾いたのだ。こういうときに表現者の力量が出ると思った。確かに普通の音楽鑑賞ではない。妨害音楽もあるし、いつ発砲が起きるかわからない状態なのである。

こういう時にピアノを弾いて鼓舞するのはプロ以上に女子学生の方が表現者として優れていると思った。それもプロが弾けないというショパンを弾いたのだ。「革命のエチュード」の最高の舞台なのに、こういう時に弾かないでいつ弾くのだと思う。まあ、こういうときはプロとか関係ない。友達の死に追悼するために、久々にピアノを弾く兵士がいたり、歌をみんなで合唱したり。それぞれの思いでピアノを弾く「ユーロ・マイダン革命」の街角ピアノだ。

調律の狂ったピアノの革命歌狂ったピアノ狂った者たち

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