見出し画像

表紙が上手いな。

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ (著), 斎藤 真理子 (翻訳) (単行本– 2018)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
韓国で136万部突破
チョン・ユミ、コン・ユ共演で映画化
社会現象を巻き起こした大ベストセラー小説
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本でも圧倒的共感の声! 「これはわたしの物語だ」
異例の大ヒットで、ついに23万部突破!!

「女性たちの絶望が詰まったこの本は、未来に向かうための希望の書」――松田青子

2019年間ベストセラー(「単行本 文芸書」部門第8位/トーハン調べ、「単行本 フィクション」部門第10位/日販調べ)
6か月連続売上第1位! (2019年1-6月 海外文学部門/トーハンTONETS i調べ)

ひとつの小説が韓国を揺るがす事態に
K-POPアイドルユニットのRed Velvet・アイリーンが「読んだ」と発言しただけで大炎上し、少女時代・スヨンは「読んだ後、何でもないと思っていたことが思い浮かんだ。女性という理由で受けてきた不平等なことが思い出され、急襲を受けた気分だった」(『90年生まれチェ・スヨン』 より)と、BTS・RMは「示唆するところが格別で、印象深かった」(NAVER Vライブ生放送 より)と言及。さらに国会議員が文在寅大統領の就任記念に「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」とプレゼント。韓国で社会現象にまで発展した一冊は台湾でもベストセラーとなり、ベトナム、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、スペインなど25カ国・地域で翻訳決定。
本書はもはや一つの<事件>だ。

ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。
誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児……キム・ジヨン(韓国における82年生まれに最も多い名前)の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。

「キム・ジヨン氏に初めて異常な症状が見られたのは九月八日のことである。(……)チョン・デヒョン氏がトーストと牛乳の朝食をとっていると、キム・ジヨン氏が突然ベランダの方に行って窓を開けた。日差しは十分に明るく、まぶしいほどだったったが、窓を開けると冷気が食卓のあたりまで入り込んできた。キム・ジヨン氏は肩を震わせて食卓に戻ってくると、こう言った」(本書p.7 より)

「『82年生まれ、キム・ジヨン』は変わった小説だ。一人の患者のカルテという形で展開された、一冊まるごと問題提起の書である。カルテではあるが、処方箋はない。そのことがかえって、読者に強く思考を促す。
小説らしくない小説だともいえる。文芸とジャーナリズムの両方に足をつけている点が特徴だ。きわめてリーダブルな文体、等身大のヒロイン、ごく身近なエピソード。統計数値や歴史的背景の説明が挿入されて副読本のようでもある。」(訳者あとがきより)

解説:伊東順子

装画:榎本マリコ
「装画について」
表紙の顔の中の風景は、ニューメキシコ州のアビキューという土地を描いています。
乾いた風の音と鳥の声以外何も聞こえないような場所で、浄化される感覚を覚えた私の一番好きな場所です。
きっと常々思い焦がれているので無意識にこの風景を描きたくなるんだと思います。
私の作品は、"此処ではないどこかへ"という想像の中の自由な世界を描くことが多いので、名久井さんがこの絵を選んでくださったことで、今回の主人公の心情にも少しリンクすることができたのかなと思っています。

装丁:名久井直子
「装丁について」
わたしが榎本さんのあの絵を選んだコンセプトは、
社会の中で自分の顔(主体)があやうい状態を表したかったのです。
透明人間になっているような。
鏡にも風景が映っているのは、
鏡にさえ、自分が映らないという喪失感のようなもの、を追加したかったのです。


儒教の影響だろうか日本以上に男尊女卑が酷いように思うが、それでも現在は戸主制廃止とかある面日本以上に男女平等化が進んでいるように思える。たぶんに#me too運動も韓国のほうが盛り上がっているのはこのような作品が韓国で出版されたからだろうか?男は出産のハンデとかよくわからないと思う。それまで当たり前のように母親たちがこなしてしまったからそれを自然なことだと思えてしまう。そうした一人背負う苦痛が言語化されるのはいいことだと思う。

男ばかりではなく世代間でもたぶんに母親世代は自分がやってきたことを娘に強制してしまう。「再生産」ということ。(2019/04/09)

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』(韓国/2019)監督キム・ドヨン 出演チョン・ユミ/コン・ユ/キム・ミギョン

解説/あらすじ
結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」。そう夫のデヒョンにも自分にも言い聞かせる彼女だったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになる。なぜ彼女の心は壊れてしまったのか。少女時代から社会人になり現在に至るまでの彼女の人生を通して、見えてくるものとは――

その前に公開された『ハチドリ』の少女が大人になって心の病になる韓国映画の転換点となるであろう。過去の生い立ちから丁寧に描かれている。長いかなと思うが飽きることはなかった。家族や旦那がいい人だけど、男尊女卑社会だから頑張っても報われない。女性議員を増やすしかない。

原作も読んでいたのだがほとんどエピソード的なところは忘れていたから興味深く観れた。やっぱ、ジオン役のチョン・ユミがいい。けっこう身につまされるリアリティあるストーリー。嫁という立場は韓国もそうだけど日本も同じ。儒教的なものか?子供を生むことの負担。(2020/10/11)

関連本:『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない 』イ・ミンギョン


この記事が参加している募集

#読書感想文

187,064件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?