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#ネタバレ 映画「ホモ・サピエンスの涙」

「ホモ・サピエンスの涙」
2019年作品
すべてはエンドロールの曲のために
2020/12/7 17:13 by さくらんぼ(修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

大阪万博のあった1970年ごろ、人気TV番組「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」がありました。

それは、たくさんのお笑いコントで構成されており、私の大好物でした。

そして、この映画「ホモ・サピエンスの涙」も、「ちょっと物悲しい断片だけで構成されたゲバゲバ76分」と言っても良いと思います。

残念ながらラストらしい断片に寝落ちしてしまい、エンドロールに目覚めたので、落ちが「?」になってしまいましたが、エンドロールにかかる讃美歌のようなコーラスが、すべての艱難辛苦の洗い流してくれるように、かつてないほど美しく、第九シンフォニーの代わりにもなりそうと思ったのでした。

★★★★

追記 ( すべてはエンドロールの曲のために ) 
2020/12/8 9:16 by さくらんぼ

劇場のスピーカーは入り口に「JBL」の看板が出ている処もありますし、エレクトロボイスやヤマハ、そして昔は、アルティックA7(A5かも)がスクリーンの前に鎮座している映画館で、寅さんを観たこともあります。

しかし、劇場に置いてあるものは、どれもPAスピーカーであり、家庭用ではありませんので、元気の良い音は得意でも、繊細で柔らかな音は苦手な傾向があると、素人の私は思っています。

でも、この映画「ホモ・サピエンスの涙」のエンドロールにかかる讃美歌のような歌を聴いた時、天上から降りてきたような、信じられないほど繊細で柔らかい声に聴こえました。録音の妙もあるはずですが、劇場用のスピーカーとチューニングの妙も見なおした瞬間でした。家庭用の、それも柔らかい音のスピーカーに勝るとも劣らない美音でした。

昔、まだオーディオ全盛期だったころ、デパートの催事場で「高級オーディオで聴く讃美歌」みたい催事があり、さっそく入ってみた事があります。

しかし、電気的には正確な音かもしれませんが、(失礼ながら正直に申せば)美音というよりも工場騒音に近く、刺激感があり、頭痛がしそうで、1分と聴いていられませんでした。あれは技術は優秀でも音楽の心がわからぬ人のチューニングだったのかもしれません。

そんな事まで思い出しました。

追記Ⅱ ( エンドロールには「ホテル・カリフォルニア」も合うかもしれない ) 2020/12/8 9:34 by さくらんぼ

>そして、この映画「ホモ・サピエンスの涙」も、「ちょっと物悲しい断片だけで構成されたゲバゲバ76分」と言っても良いと思います。(本文より)

「全33シーン」とチラシに書いてありますから、断片は全部で33あったのでしょう。

その一つ一つがポエムでありました。

詩心のある人、物語を作れる人なら、その断片の背景にある物語を感じ取れるのかもしれません。

この作品は、極言すれば33本の(哀しい)映画が一本に凝縮されていると言っても良いのかもしれません。

どれか一つぐらいは、「あるある」と刺さる断片があるように思います。

私は「信仰を無くしたと精神科医に泣きつく牧師(それでも牧師の仕事を続けている)」と、

「仲直りしたい旧友から無視される男(それでも仲直りをあきらめていない)」の話です。

追記Ⅲ ( 十字架はやがて希望になる ) 
2020/12/8 9:39 by さくらんぼ

>私は「信仰を無くしたと精神科医に泣きつく牧師(それでも牧師の仕事を続けている)」と、

>「仲直りしたい旧友から無視される男(それでも仲直りをあきらめていない)」の話です。(追記Ⅱより)

書いてみて気づきましたが、「それでも続けている牧師」にも、「それでもあきらめていない男」にも、「愛」がありましたね。

もしかしたら、そんな人生への向き合い方を(十字架を)、この映画は語っていたのでしょうか。

追記Ⅳ 2022.4.16 ( 目からウロコだった監督のお話 )

久しぶりに映画の予告編を観ようとして、挿入されていた監督のお話に驚きました。

映画の解説で、なんと「熱力学」がでてきたのです。

私の理解では「永遠という概念は『エネルギー不変の法則』で説明できる。すべてのものは形を変えて存在し続ける。ゆえに『命も永遠』である」という事らしいです。この映画「ホモ・サピエンスの涙」は、その「熱力学」を33の断片でドラマ化したのかもしれません。

しかし、この前知識なしで監督の解釈が理解できる人は、どれだけいるのでしょうか。少なくとも私には、まったく予想外というか、手の届かなかった世界観でした。

この映画を鑑賞される方は、この前知識を知った上で、じっくりご覧になると面白いかもしれません。私もその視点で観なおしたくなりました。

映画「ホモ・サピエンスの涙」予告編

追記Ⅴ 2022.4.16 ( お借りした画像は )

キーワード「エネルギー」でご縁がありました。大きめの画像のため、カップが中央に来るように上下を少し移動しましたが、それ以外は無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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