良い施設、を目指す落とし穴。

何をもって良い施設と呼ぶか?はそれぞれいろんな見方があるので一概には言えないかもしれませんが、でもそれぞれの施設の中には、どんな施設であれ「良い施設になるための目標や課題」があるはずです。

昔の話ですが、「痴呆症」というものに該当されていた方が入らされていた施設、それは本当に人権などがないようなものでしたが、いまでこそそういった施設は少なくなりつつある、というか、ある程度「高齢者」としての枠組みが出来上がってきたからか、クオリティは上がってきているのだと思います。

志高い施設なんかは「ホテルライク」な施設としての在り方を目指していたりするのかもしれません。

でも仮に「ホテルライクな日常」が良い施設としての目標であるときに
陥りがちなのが「都合のいい依存場所」になってしまうことで。

例えば私達がホテルに行くとコンシェルジュサービスなんかがあり、クリーニングをお願いできたり、滞在中は掃除やリネン交換なんかも行ってくれますよね。だけど、マッサージやエステなどをお願いしたい場合は、別で頼んできて貰えたりするところもあります。
ホテルのホスピタリティは「お客様御自身による選択」によって行われているのが大前提なのです。

では施設のホスピタリティが陥る落とし穴とは?
ホテルと全く違うのは「本人が自発的ではない」という場合が殆どになるのです。

施設側は「可能な限り利用者の想いを叶える」という「奉仕」が前提にある場合があります。だからこそ「今すぐ美容院に行きたい」とか「今すぐ新宿に行きたい」など、様々な難題を言われてしまうのです。

つまり「今すぐ美容院に行きたい」とおっしゃられる利用者は
「美容院に行くからタクシーを呼んでください」
という場合が自発行為。
「美容院に行きたい!どうしたらいい?」
は、施設任せになっています。

施設として、利用者の想いを叶えていきたいとおもうのは当然のことなのかもしれませんが、
それよりなにより「自発力」が低下してしまわないようなサービス提供を
常に考えていく。なんでも叶える、なんでも寄り添う、ではなく
「自発力」が本当に死ぬまで大事だということを、スタッフも利用者とともに学んでいける、そんな施設はいい施設なのではないかなぁ、と思います。

施設として何か「楽しめるもの」を提供するのが当たり前。
そもそも、それは違うんじゃないか?ということに気付きはじめている施設は、増えてきています。

ケア側として、そこではなく「自発力」のサポートができる。
これこそ介護士冥利に尽きるのではないでしょうか??

例えばですが、どうしてもパットを外してしまう方がいる。その方はそのパットがどうしても嫌なのですよね。でもしないと間に合わないし、洗濯も頻繁になってしまう。
仮に都度洗濯が可能な程度の汚染だった場合は別として、
どうしてもパットを使用していただきたいけれど、外されてしまう。

そういった場合に、まぁ大概の人は慣れていただくまでそれをお手伝いするとか、声掛けしながら慣れてもらうとかするのでしょうけど、、、
でも女性ならきっとわかると思うのですが「お気に入りのナプキン」って
何でも良いわけじゃないですよね?
ですからこの場合の自発力を高めるケアとしては、
「様々なメーカーの様々な大きさのパットを試してみる」
そして
「外さなかったものを選択して使用してもらう」

そんな流れになるのかと。

まぁ私は何でもいいわなんて人もいるとは思うのですが・・・(安けりゃいい、とかね)そういう人にはあながちわかる話ではないのかもしれません。
シャンプーとか、洗剤など、私たちはいろんなものを無意識の中で「自発的」に選んでいます。
こだわることへの価値が、無くなっていく。それも一つの自然現象なのかもしれません。自分の衰えを受け入れることができない人たちにとっては。。。

私自身、じぶんが年を重ねていくことをきちんと受け止められているのか?と考えると、そうではないのかもしれないと思います。
でも、そういう自分を見つめることって、若い人も、私ぐらいの人も、また高齢の人たちにも、共通していけることなんでしょうね。いくつからのスタートも、同じ。というか。
だからこそ、きちんと話せる場が提供できているかどうか?

これはほんとに大きいと感じます。

これからの時代、高齢の方がどんどん増えていくなかで、
それがマンパワーとして輝くために、互いに協力していくことがどんどんできていける、そんな業界にしていきたいと密かに思っています。


もっと読んでみたい!という気持ちが 何かを必ず変えていきます。私の周りも、読んでくださった方も、その周りも(o^^o)