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私の好きな詩が教科書に載った。【エッセイ】

私の好きな詩が教科書に載った時、
誰にでもなく謝りたくなった。悔しかった。
私が好きなもの、それは多分結局ミーハーという言葉で片付けられるとしてもサブカルチャーで、いや、カウンターカルチャーで

ごめんなさい。私が好きなもの、それはいけないもの、先生に言ったら絶対叱られてしまうような、郵便局留にしなきゃいけないようなものだった。
高校生の春、私は途中下車して横浜の大きな図書館へ向かった。BOOK・OFFでは売っていなかったから。全財産2000円だった。店員さんに聞けなくて、1人で30分探してやっと見っけた1冊。隣にもう1冊。ブックカバーをつけた。
帰りの電車、文字を追った。
流れたのは涙だったか、密かな頷きだったか、覚えていない。
誰にも見られたくないからリュックの奥底で半年、持ち歩いた。

そんな詩が、教科書に載った。
高校の教科書に載った。
巻頭だ、そう、巻頭。
みんなの晒し者になったのだ。私の感情が。
すり減らされていくんだ、
評論されるんだ、
正解ができるんだ、
赤の他人が紡いだ言葉と一緒に溶けていく。
くやしいな、くやしいなぁ、
わからないくらいが、ちょうどいいのに。

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