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【霞ヶ関で働いてみた#3】 1年で異動!?

民間企業からとある省庁へ転職し、実際に働いてみて、中央省庁ってこんなところなんだと感じたことを不定期・順不同で気ままに投稿します。

※この内容はあくまで私が勤務していた省庁においての話であり中央省庁すべてに当てはまるものではありません。

この記事の中身↓

<実態について>
・1年毎に異動して他部署を担当
・毎年8、9割の職員が異動し、1つのポジションに留まる人は少数派
・180度全く業務内容が異なる部署に異動することがほとんど
<感想・意見>
・合う人と合わない人に別れる
・組織にとって悪影響ではないか?



#1、#2では、省庁の人事異動の具体的な流れ、作法などについて割とコミカルに書きましたが、
今回は真面目に論じていこうと思います。


さて本題に入ります...


私が勤務していたとある省庁では基本的に1年で他部署へ異動します。


異動期(7月)になると

だいたい8、9割の職員が異動し、
1、2割の職員が異動せず同じポジションに残留する印象です。

したがって、
とある課が10人だとすると、8人は別の課や局に異動してしまい、同じ課に残るのはわずか2人しかいません。


また、関連性のある部署への異動ではなく、
ほとんどが180度業務内容が異なる部署へ異動します。(特に若手のうちはいろんな経験をします...)


私自身も同じポジションには1、2年しか在籍せず別の部署に異動していました。
しかも業務内容は【途上国支援→給与事務→自治体への融資...】のように繋がりが全くない部署を転々としました。


もちろん採用説明会等で、このような短期間でいろいろな経験をするキャリアパスについての説明は受けており、承知の上で入省しています。


これほど短期間で異動するのは、

組織の新陳代謝を高めること

個人をゼネラリストとして育てること

が目的だと聞いたことがあります...



合う人と合わない人に別れる


率直に私には合いませんでした。
退職した理由はこれが1番かもしれないです。


入省前は、

「いろんな経験ができて飽きなくて面白そう!」

と思っていましたが
やってみると違いますね...


この関連性のない人事異動を経験して、

「やっぱり1つの分野を極めたい、ゼネラリストではなくスペシャリストになりたい!」

と強く感じました。


一方で、とある先輩の話を聞くと

「1年も同じ仕事をするのって長いよね、早く次の仕事をしたい、どんな部署に異動するか楽しみだ」

と言うのです。

この組織に長くいる人はこの頻繁な異動を楽しめる人なんだと感じました。



本当に新陳代謝が高まる?


そもそも組織の新陳代謝って何?って言う議論にもなりますが、

私が思う組織の新陳代謝とは

「業務のの向上」

「業務プロセスの見直し」

のようなことかなと思います。


例えば、

・着任した新しい人が前任者とは違う視点で業務を見ることでこれまでにはない発想が生まれる

・業務のやり方が改善されて効率化が進む、

といったことではないでしょうか。


しかし、

私はこの人事異動によって組織の新陳代謝が高まらない、むしろ悪化させていると感じました。

理由は下記のような点です。

異動に対するバックアップ体制が不十分

7月の異動期には大多数の人が異動し、
あっちへこっちへ省内だけでなく省外も含めて多くの人がシャッフルされます。


そこで問題なのが、
前任者も遠くへ異動するし、着任した部署の人たちもこの部署が初めてという環境です。


私が初めて異動した時は、
前任者が省外の機関へ出向してしまい、隣の人や上司は他の課や省外の機関から出向してきた人たちでした。


何が言いたいかというと、
不明な点があってもすぐに確認できないということです。


着任してから何かわからないことがある場合、
隣の人や上司に質問してすぐ解決できればいいのですが、それができないのです。


前任者に電話かメールで質問するか、過去の資料を読み漁る、上司と一緒に考えてみる、省内でわかりそうな人に聞いてみるといった手段で解決しなければなりません。


これでは時間がかかってしょうがないです。


もちろん着任までに前任者から引継ぎを受けますが、
当然カバーしきれないことも発生します。


そんな時にサッと近くの人に確認できないのはあまりにも非効率で、
これでは業務の質の向上やプロセスの見直しに注力する時間も労力もなく、むしろ業務に不備が生じて質が悪化してしまいます


実際に私が着任した時にいくつものミスをしてしまい多くの人に迷惑をかけてしまいました...



最後に

1年で異動することについて...

「個人」としては、
自分でなんとか業務を覚えなければならない状況下で短期間で素早く業務内容を習得するスキルが身につきます。

飽きっぽい人、どんな業務でもこなせる人などにとってはいい環境かもしれません。
すぐに業務内容を理解し吸収できる官僚たちは確かにすごいです。
尊敬できる人たちもたくさんいました。


一方で「組織」として
この人事異動に意味があるのかは正直疑問です。
公務員という税金で運営されている組織がこんな杜撰な体制なのか、
ましてや日本の中枢である中央省庁がこんな組織でいいのか、


霞ヶ関で働いてみて残念な一面が見えてしまいました...

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