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ユルッと肩の力が抜ける話が好き

なんとなくやりたい事がなかったので、本でも読もうかと思ったが、意外と本を持っていない私。
本はたまに読むくらいで、しかも好みが恐ろしく片寄っているので、殆んど森見さんの本で埋め尽くされている。
そして好きすぎて何度も読んでいるので、敢えて今読もうという状態でもない。

で読んでいるのが源さんの"蘇える変態、"
かなり前の本だけど最近購入し、しかも買うと安心して読まない癖があるので、ずっと放置していた…。なんて奴だ。

源さんは歌よりも私は文章が好きで、エッセイ本は殆んど持っている。
読みやすさは元より、素の変な部分をユルッとサラッと書き連ねているところがとても好感が持てる。そして"あ、そんなんでいいんだ"と変に励まされたりもする。そんなところがいいんです。

で、蘇える変態、半分はエロでした。
しかもサラッと書くから全然エロくない。何だ矛盾しとる。
源さんが書くからそうなるのか、敢えてそうさしてるのか、そこは上手いと思えるところだなぁ。
でもそれは全部ではなく、くも膜下出血で倒れた事もありありと書かれていてシリアスな部分もある。でもそこにもエロはあったか。
シリアスでもユーモアを加味したいという心遣いなのか、ほっこりとした気分で読むことができた。

本を読む、というと今でこそ小説を読んだりするようになったが、昔は殆んどエッセイ本ばかり読んでいた。
その始まりが室井滋さんの"むかつくぜ!"
"やっぱり猫が好き"をきっかけにしげさん、聡美さん、もたいさんにハマり、中でもしげさんの面白さにドハマりしていた。
そしてそのままエッセイの世界にも導かれたという流れ。

私は至ってフツーの、特に日々の生活で何か起きるということのないフツーの人なので、面白く変わっている人に異常に憧れを抱いていた。そしてその頃の対象が室井滋さん。
そのエッセイの内容は本当に面白く、多分しげさんは普通に生活しているのであろうが、それがとても面白可笑しく描かれていて、羨望の眼差しを向けて読みふけっていた。
何でこんなにも面白い事が起きるのか⁉
なんとなくその人の人となりを表しているようで、そういう人にはそういう出来事が起こるもの、という結論を読みながら導き出してみた。

その後しげさんに始まり、小林聡美さん、もたいさんと立て続けに読みまくった。
三者三様ではあるけれど、皆ユルッとした面白さを兼ね備えている。やはり期待は裏切らない。
そのまま一風変わった人を追いかけ続け、竹中直人さん、片桐はいりさんとややクセの強い人の本にまたまたドハマりしていった。
学生の頃からその好みは変わっていない。
今も変わっている人に目が向いてしまう。

大人になってから読むようになったのが、西可奈子さんのエッセイ。
"通天閣"がべらぼうに好きなんだけど、持っている小説はそれだけで後は全部エッセイ本。
一度あまりの可笑しさに電車の中で吹き出してしまい、それ以来外に持ち出さない事にしている。

西さんもやはりしげさんと通ずるものを感じる。
敢えて面白くしようとしなくても、面白い何かを引き寄せる能力がある、それも知らず知らずの内に。
そこに文章力の上手さも加わり更に面白い話になっていく、というループ。
またまた羨望の眼差し。

要は普通に起こる出来事をどう捉えるかということなのかなと考える。
見過ごしそうな些細な事でも面白いと思うか思わないかの違い。それを常に意識して生活しているとは思わないけど、キャッチする能力は格段に高いと見た。
そしてそれをどう文章に落としこんでクスッとさせられるか。そこは文章力、表現力によるものなのかな。
そんな人に今でも憧れるけど、私はそんな面白話をひたすら面白がる人でありたいと思う。