読書感想文(298)伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
はじめに
こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は久々に伊坂幸太郎さんの作品を読みました。
初めて読んだのは『ゴールデンスランバー』で、確か高校生の頃です。こちらはとても面白かった記憶があるのですが、昨年読んだ『ホワイトラビット』は正直あまり合わなかったなぁと思った気がします。
今回手に取ったこの『アヒルと鴨のコインロッカー』は、昨年同僚の人にオススメされて買ったものの、『ホワイトラビット』を引き摺ったせいかずっと積ん読になっていました。
最近お金を節約する為に積ん読を消化していっており、その中でこの本を読むことにしました。
感想
ストーリーの後味は正直あまり良くありませんが、小説としてはとても良かったなと思います。
小説だからといって、何事も上手くいくわけではありませんよね。そういう心を軽くしてくれる楽しい小説も好きですが。
この作品は現在と二年前、二つの時間の物語が交互に進んでいくミステリーです。
一応推理しながら読んでみましたが、ある程度はわかったけれど、肝心な部分はわからなかったので、終盤であっと驚かされました。
そのことに気づくと、それまでに読んだ色んな伏線に気づき、なるほどなぁと切ない気分になりました。
尚、この作品は映画化もされているようですが、どんな風に映画になっているのか気になります。
恐らく、前半で現在の物語、後半で過去の物語が明かされるという、シャーロック・ホームズのような流れでしょう。
確かアマプラでは有料だったので、また機会があれば観てみたいです。
以下、印象に残った所を引用します。
ストーリーとはあまり関係無い場面かもしれませんが、さもありなんと思いました。
この作品は2006年に書かれたものですが、この即効性を求める風潮は近年ますます強くなっているように思われます。
来世とまで言わなくても、数年、十数年単位で物事を捉える視点は重要なのではないかと思います。
時代は刻一刻と変わっていくので難しい部分もありますが、それも踏まえた上で将来を見通しつつ、今を生きるのが大事なのかなぁと思いました。
これは反論したくなる一方、確かに苦労は比較的多くなりやすいかもなぁとは思います。でもその面倒臭さを捨ててしまうのが、違うんじゃないかと直観的に思ってしまいます。
大学生の主人公の友人達はストーリーに大きく関わりませんが、大学生らしい若さがあって、作品の中で確かに存在しているように思います。いわば、主人公の日常側の人物達です。
おわりに
巻末解説も面白かったのですが、その中で紹介されていた伊坂幸太郎さんの他の作品も読みたくなりました。
『ホワイトラビット』はあまり好きになりませんでしたが、また他の作品も読んでみようと思いました。
また、この作品をオススメしてくれた同僚の人は結構尊敬しているのですが、今回この本が面白かったので流石だなぁと改めて思いました。
信用できる人のオススメ本は信用できます。仮に自分に合わなかったとしても、自分にはまだわからない何かがあるはずなので、良い経験になると思います。
最近(といっても結構前から)は名作や他人のオススメ本を読むことが多いですが、これからもしばらくはその傾向が続きそうです。
というか、そうやって沢山読んでも次から次へと読みたい本が増えていくばかりでキリがありません。
少なくとも今年中は濫読が続くだろうと思います。
ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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